第19話 誘拐手配!!
「まず、これを見ろ。」
あれよあれよと拘束具をつけられたヴァンはたくさんの騎士さまに剣を向けられた状況だった。
そんな中、リーダーらしき人がヴァンの目の前にとある紙を目の前に突きつけていた。
「こ、これは‥‥‥!! 」
「わかるか?お前が犯した罪は‥‥‥、人を悲しませることだ。お前の性癖だったとしても、妄想の中で押し留めておくべきだったんだよ。」
「あんなちびっ子にそんなことしねーよっ! そんなことしたら俺が殺されるわ!! 」
「何を妙なことを。あんなに小さい子がお前のような男に立ち向かえられるとでも? 」
「くそっ! あいつ、外見だけは本当にちびだからな!! 」
‥‥‥ただ、見えない。その紙に何が書かれているのか。ヴァンの表情がどんなものなのか。
なぜなら、
「お可哀想に‥‥‥。」
「大丈夫ですからね。」
「私、ココア持ってきます!あとお菓子も!!」
と、人が壁になっているのだ。
私を可哀想可哀想と同情して抱きしめてくるメイドさん。自分が守ってあげるからと私に安心を無理やり押し付けてくる騎士さま。特に騎士さまたちは筋肉で更に見辛く‥‥‥。
‥‥‥ん??何この状況??
「私、誘拐されていません! 」
いや、一応私自身で旅しようって誘いを受け入れたし。
だけど、
「大丈夫だよ。もう本当のことを言えばいいんだよ? 」
「怖いおじさんはもういなくなるからね? 」
「お家に帰れるよ? 」
と私の言葉を誰も聞こうとしない。聞けやあ!!
「いや、ちが、」
「わかるよ。大丈夫だよ。もう安心してね? 」
「怖かったよね‥‥‥。」
「あの、本当にちが、」
「君はミュゲ村に住むエリースちゃん、だね? 誘拐されていることは分かっているよ?」
「君のことは村の人からの手配書で分かっているよ。」
何人もの大の男である騎士さまが私みたいな子供に優しく語りかけていたが‥‥‥、少し威圧感がある。ちょい怖い。
にしてもミュゲの村のエリース?
ミュゲ村‥‥‥、それは私達の村の名前だ。その村に住むエリースちゃん‥‥‥、つまり私?
私が‥‥‥、誘拐‥‥‥。そこまでは分かっていたけど、手配書‥‥‥?
ああ、なるほど!ヴァンが今見ているのは手配書かぁ!おお!!‥‥‥おお?
村の人、行動早すぎない? なんでイェレロにまで手配書が来ているの!? っていうか手配書の発行が早すぎない?
確か、村は結構南西のほうで亜人との辺境の村といえる。そんな村から国の中心にあるイェレロを通り過ぎる騎士さまたちが手配書を持っているって早すぎない? 私が誘拐(?)されて一日しか経っていないのに!
「とりあえず犯人と一緒の部屋にいるのは辛いよね‥‥‥。俺たちの泊まる予定の宿に来てくれるかな? 」
「そこなら俺たちが守るからね。」
騎士さまたちがそれぞれそうやって言うのを私は聞い、んん!?
‥‥‥マジ、ですか?
本気で村に戻させる気満々じゃん!!
すると、誰かが私の手を握った。騎士さまのうちの1人だ。
‥‥‥なんか、この人見たことがあるような気がする。
「さあ、行きましょう。ご領主さま、いきなりの訪問ですが寛容なご態度、感謝いたします。」
と、私の手を握ったとある騎士さまが領主さまに聞く。
あ、領主さまいたんだっけ?存在忘れていた。
「う、うむ‥‥‥。」
しばらく騎士さまの襲撃と森の破壊者の意外な性癖と犯歴に驚きで声を失っていた領主さまが頷いた。
‥‥‥存在感なかったのは、あっけにとられて何も言っていなかったからか。ドンマイ!『入れ歯・飛んだ・パジャマ』の領主さま!!
「さあ、行きましょうか。」
ぐいっと強く引っ張られたかと思うと、手を握った騎士さまがいきなり私を抱きかかえた。
さすが鍛えられている騎士さまだな。重いはずの10歳児をしっかり抱っこできて‥‥‥。ってちがーう!!ヴァンの冤罪を明かさなきゃ!!
ほら上がった視点から見てよ!あのヴァンの弱った顔を!!
‥‥‥。
‥‥‥待てよ?
実際、私は拉致られているし、あんな亜人に復讐の手伝いを頼むよりかは、騎士さまに故郷に連れて行かれている途中に抜け出して自力で復讐のためにもどる方がよくない?
ふむ。
それなら最後に一発楽しいことをしますか。
「きゃー、こわーい。はんざいしゃだー。たすけてー。」
「おい!お前、絶対にこの状況を楽しんでやがる!! 棒読みだし!! この裏切り者! お前普通にこの騎士たち倒せるほどつよ、うおおおおおっ!! やめろ!! やめてください!! 剣向けないで!! 」
「黙れ! この外道!! 」
ヴァンを指さしながらそういうと、ヴァンがキレて、それに対して騎士さまのリーダーらしき人がキレていた。
__うん!! 本日も平和です!!
こうして私は騎士さまたちが泊まっているという宿に行くことになった。GJ!!
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