第14話 森林伐採!!

「こほこほっ! 」

「ちびっ子!? 大丈夫か!? 」

「はい。」

「にしてもちびっ子何しやがった‥‥‥。やりすぎだろ‥‥‥。」

「‥‥‥」



 結果、魔術は使えた。そして敵を全滅させることを成功した。大量の雑魚デモンに当てるように魔術を調整したのが成功したのか私とヴァンが無事だった。


 どうやら魔術障害は治った‥‥‥、みたいだけど‥‥‥。



 でも、あれ‥‥‥? 〈ライト・ガン〉って‥‥‥、こんな激ヤバ技だっけ?


 私の知っている〈ライト・ガン〉は魔力を光弾に変えて、相手を的確に撃ち抜く魔術だった、はず、だ。魔術師の見習いが一人前になるときに教わる技、で、特別難しい技じゃない‥‥‥、し、安定して、技も、出せるかな‥‥‥、なんて考えていたけど‥‥‥。けど‥‥‥。


 あれ?


 ライトガンは恐るべき威力があり、当たる範囲は狭いものの、当たったら絶対にそれを撃ち抜ける威力を持っている。それこそあの犬っころたちを何体と撃ち抜いたらやっと止まるほどの威力だ。うん。そのため、血路を開けて逃げようと思っていたんだけど‥‥‥。‥‥‥えええええ。強すぎて引くわ‥‥‥。


 まさかここまでって何があったらこうなるの!?


 いや、巻き戻る前も私は威力が強すぎだし、範囲も普通の人と比べて大きかった。



 でも、




「‥‥‥ちびっ子、いやちびっ子様。」

「‥‥‥はい。」

「貴方様は〈ライト・ガン〉を使われたのですよね?」

「‥‥‥はい。」



 どうやらヴァンも〈ライト・ガン〉を知っているようだ。まあ、魔術に詳しいって言ってたし。



「なんで‥‥‥、!?」

「‥‥‥はい。違います。」

「おいいいいい!! 現実逃避するな!! 森林を荒らすなよ!! っていうかなんで対個人戦の魔術が全体殲滅魔術に変わっているんだよ!! 」

「‥‥‥ヴァン、一ついいですか。」

「‥‥‥おう、言ってみろ。」

「‥‥‥ここは元々平野です! 森なんてありませんでした!! 」

「開き直んな馬鹿!! 」



 あははは‥‥‥‥。




 __なんでこうなった?




 ******



「そして私達は無事デモン討伐が終わって、街に入ることが出来たのでした。めでたしめでたし。」

「おい、勝手に終わろうとするな。」

「ヴァン、もう終わったのですよ‥‥‥。何もかも‥‥‥。」

「なんて悟った目しているんだ‥‥‥、ちびっ子。まあ言いたいことは分かるけど‥‥‥。」


 あのあと、私達は急に森がなくなったことで森を調査しに来た兵士さんたちにデモン討伐終了を知らせた。


 ‥‥‥森を破壊したためか、すっごい恐ろしいものを見る目をして引かれた。普通に悲しい。



 そしてその後、街の領主さまがこのことを聞いて、すぐに街に入れてくれてそして‥‥‥、



「ほらほら、手を振ってください! まだまだ振りが甘いですよ!! おふた方。あなた方はあの厄介なデモンを倒してくださった英雄なのですから! 胸をお張りください! 」

「はい‥‥‥。」

「‥‥‥なんでこうなった。」


 さっきから私達のお付きをしてくれている兵士さん(検問所街の出入り口の兵士さんとは別人である。多分見習い。)がにこやかにそう言ってくるのに引きつった表情になってしまう。



 なんと私達は街でパレードに出ることになったのだ!


 眠い、だるい、しんどい!!



 街中を一周する間、ずっと手を振っているっていうのが疲れるのは勇者と旅をしている間、やったことがあって知っていたからやりたくなかった。


 でも、領主様代理の兵士さんが、『即席でするからパレードに出てくれ』と打診したときに、またもや馬鹿ヴァンが『はい!やります!』って二つ返事でアホみたいな顔で引き受けてしまったのだ。マジで学習というものをしてほしい。デモン退治のときもそうやって二つ返事で引き受けて命の危機にあったばっかりなのに。ヴァンは本当に馬鹿だ。



「ち、ちびっ子? なんか馬鹿にしてないか? 俺のこと。」

「いえ、別に。」

「にしても‥‥‥、思っていたのと違ったんだが‥‥‥。お、俺の‥‥‥、俺の妄想を返せ!!」



 はいはい、妄想と書いてデリュージョンね(笑)



 まあ、ヴァンがそういうのもしょうがない。街に住んでいる人からの視線が痛いのだ。すごく。


 このパレード自体即席だし、そもそも森を一瞬で崩壊させた破壊神みたいなやつがパレードして自分の近くに来たら怖いのだろう。



 でも、私もきっと1人ぐらい好意を持ってくれていると思ってそういう人を探したよ!!




 でもさ!



「おかあさん、あのひとたち、なあに?」

「しっ! 見ちゃいけません。」


「あの人達見て。」

「アブナイ人なんでしょ?お母さんにさっき近寄っちゃいけないっていわれたわ。」


「さっき聞いた話では、デモンを倒したとか‥‥‥。」

「なっ! それではデモンを退治するために剣を大量に発注されていてウハウハだった我が鍛冶屋の売上が悪くなるじゃないか!! おのれえ!! しかも森がなくなったから剣の材料も取れなくなったんだぞ!? これじゃあ店が潰れちまう!! 」



 こんなことばっかり言われているんだよ!? ひどくない!? 罰ゲーム!? このパレードは罰ゲームなの!?



 そう考えると即席の割には豪華すぎるパレードがなんか滑稽に思えてくる。心なしか、ファンファーレを奏でるトランペットの音が空元気に聞こえるし‥‥‥。



 それなのに兵士さんに言われるがままに健気に手を振っている自分が憎いというか、なんというか‥‥‥。とりあえずヴァンが憎いってことでいいや。八つ当たり? なにそれ美味しいんですか?



「これから、領主さまにお会いしていただきます。」

「え。このパレードが終わってから、ですか? 」

「はい。」



 これはまた‥‥‥、面倒くさい。もしかしてこのパレードって罰ゲーム?今日は疲れたから早く寝たいのに‥‥‥。



 それにしてもこの街の領主さまの意思はさっきから代理人であるお付きの兵士さんが伝えてくれていたから、もし報酬とかがあるなら兵士さんを通じてかと思っていたけど‥‥‥。まさか本人に合うことになるとは‥‥‥。



「緊張されなくても大丈夫ですよ。領主様は気弱すぎ、いえ、シャイな方ですので。」

「‥‥‥」



 それでこの街が成り立っているのがすごい。



「えっと‥‥‥、私達、戦闘で服が汚れているんですけど‥‥‥。」

「問題ありません。領主さまの家に入る前に来ますから着替えていただきますから。」

「疲れているので。」

「問題ありません。すぐに終わる予定です。」

「お腹が空い、」

「領主さまとご一緒にディナーでもいかがですか?」



 くっ、相手が手強すぎる! しかも、相手に悪気が一切ないのが本当にしんどい。これで何か企んでいるなら強制的に離脱しようと思うけど、相手が純真なスマイルで来るからそんなこと心が痛すぎてできない!!



「ちびっ子。諦めろ。もう既にここは敵陣アウェイだ。」

「‥‥‥そのようですね。」



 ヴァンが手を振っていない方の手で私の肩にポンッと手を置き、私はうなだれた。


 ちなみにこの間ずっと私達は険しい表情をしながら自分たちを見る街の住人たちに笑顔で手を振っていた。



 兵士さんはその様子に満足げだった。



 ‥‥‥おのれ!不憫とか思わないの!?


 兵士さんに八つ当たりで頭突きをしたくなった。






 __これが領主さまに出会う前の2時間前の話である。


 まさか領主様が思った以上に‥‥‥。いや、やめよう。このときの私はまだ知らないほうがいい。できれば未来永劫知りたくなかった。

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