3人の海女の美人姉妹

藤ともみ

3人の海女の美人姉妹

むかしむかし、美しい、3人の海女の姉妹がいました


ある日、おいしいあわびをとろうと、海に向かっておりました。

おいしくて大きなあわびをとるためには、海の底まで潜らなくてはなりません。

その海には気味の悪い大きな大蛇がすんでいました。


さて、はじめに、一番下の妹が海に泳いでやってきました。輝く黒髪に白桃のような柔肌、細い手足が美しい娘でありました。末娘が海を泳ぐと、ぱちゃぱちゃと水が跳ねました。


「だれだ、おれの海をぱちゃぱちゃさせるのは」と、海面に大蛇がぬうっと顔をだして怒鳴りました

「わたしです、海女の3姉妹のいちばん下の妹です、あわびをとりにいくところです」

と、末の妹はとても小さい声で言いました。


「ようしお前を俺の嫁にしてやろう」

と大蛇が言いました

「ああ、どうかお助けください、私はこんなに痩せっぽっちで小さいんですもの」と末娘は言いました

「すこしまてば、二番目の姉さんがやってきます。わたしよりずっと大きくて美しいですよ」

「そんならとっとと行ってしまえ」と、大蛇はいいました


しばらくして、二番目の娘が海を泳いでやってきました。赤みがかった髪にまぶしい褐色の肌、しなやかな肢体が美しい娘でした。2番目の娘が海を泳ぐと、ざぶんと波が立ちました。

「だれだ、おれの海を、ざぶんとさせるのは」と大蛇が怒鳴りました

「あたしは海女の3姉妹の2番目の娘。うまいあわびを採りにいくところさ」と2番目の娘は白い歯を見せて笑いながら言いました。


「ようしお前を俺の嫁にしてやろう」

と大蛇が言いました

「おっと、勘弁しておくれよ。すこしまてばもっと美しくて大きい姉さんがやってくる。あたしよりずっときれいだよ」

「そうか、そんならとっとと消え失せろ」

と大蛇が言いました。

ところがそのとき、もう泳いできたのが一番上の姉さんでした。

音もなく大蛇との間合いを詰めたところで、急に海面に顔をだして、大蛇をにらみましたので、大蛇はびっくり仰天しました。

「いったいぜんたい何者だ。おれさまの海を音もなく泳いでやってきたのは」と大蛇が怒鳴りました


「わたしだ!海女の三姉妹の1番上の姉さんだ!」と1番上の姉さんが言いました。

 6尺におよぶ身の丈。豊かな黒髪に、爛々と輝く大きな目。数多の漁を経験してきたその肉体は鋼のように逞しく、女神の化身のように美しい娘でした。その手には大きな槍が握られています。


「ようしお前をおれの嫁にしてやろう」と大蛇が怒鳴りました


「さあ来い、こちらにはするどい槍がある。おまけに岩のように固い2つの拳がある。お前の肉をバラバラにして鱠にして食ってしまうぞ!」

こう、一番上の娘がいいました。

そして大蛇にとびかかると、槍で目玉を串刺しに、拳で肉をこっぱみじんにして

大蛇を海の底へ沈めました。


それからあわびのいる岩場にもぐっていきました。


陸にもどって、おいしいあわびと大蛇のなますをたらふく食べた三姉妹は、たいそう満足して、のんびりとうちへ歩いて帰りましたとさ


とっぴんぱらりのぷう。

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3人の海女の美人姉妹 藤ともみ @fuji_T0m0m1

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