3話 生きる価値

心のどこかではきっと、期待を捨てきれていなかった。


だからずっと苦しかった。その苦しさをまぎらわそうと推しに依存した


誰かに依存したかったのだ。


誰も信じていないのに誰かに依存したいだなんて馬鹿な話だろう。


それでも、どんなに辛くても私は、一人が怖かった。


拒否されても、嫌がらせを受けても、一人になりたくなかった。


推しに依存して、心を病んで、もがき苦しんだ。


会えない人が愛しくて堪らなかった。


画面の中はいつだって別世界だった。


だから、仲間に入れた時、私は涙が溢れた。


喜びで涙が溢れるなんてことが、本当にあると私は知った。


そして、人との会話の楽しさを知った。


私が、私じゃ無くなったみたいに明るい気持ちになった。


躁鬱の症状とは違う、心からの喜びを感じたのだ。


この時が一生続けば良いのにと何度願っただろうか。


そうして私は、タイムリミットを忘れて、世界へと入り込んだ。


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