n=53 幽霊屋敷

 uさんの職場近くに建つコンビニが、少し変だという。


 そこに立った店は、あまり長続きしない。

 uさんの覚えている限りでも、デイリーヤマザキ→ラーメン屋→保険事務所→セブンイレブン→建築事務所→ローソン、と短い期間で頻繁に変遷している。


 そのローソンを夜中に訪れたときのことだ。

 照明の少ない田舎道の先、光が煌々と照っている。


 少し駆け足になり近付いていくと、変だ。


 光る看板、店の外装、全てが「自分はセブンイレブンですよ」と主張している。

 赤オレンジ緑の3色を使った、明るい暖色系の看板は、どう見てもセブンイレブンのそれだ。


「知らない間にまた潰れて、セブンに変わったのか?」と小首をかしげながら中に入ると、内装も間違いなくセブンイレブンである。

 その日のuさんは、ななチキを買って帰った。


 しかし翌日、通勤中に見てみるとそこに立ったコンビニは、間違いなくセブンイレブンでなくローソンだった。


 職場でその話してみたら「俺は夜中行ったら、ラーメン屋だったことある」って同僚もいて、訳わかんないんですよね。潰れた店の幽霊的なやつ?

 uさんはそう語った。

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