n=18 置き去り
ある夏の夕方のことだった。訳あって暇なRさんはふと思い立ち、近所のスーパーへ歩いていった。
そこは車10台くらい停められる駐車場を備えた小さなスーパーで、普段は客が少ない。しかしその日は様子が違っていた。
敷地内に入った瞬間、混雑しているのがわかる。駐車スペースが車で埋まっているのだ。
仕事帰りに買い物する人が多いのかな、と思いながら駐車場を横断し、店舗の入口を目指す。
その途中、入口近くに置かれた自販機を駐車車両のフロントガラス越しにチラリと見た。近くではあまり見かけない、好みのジュースがここの自販機にはある。それを確認しようと思っての行動だった。
車の中に、小さな子供が座っていた。小学生低学年くらいの歳の頃だ。エンジンも切れているし窓も開いていない車の中、じっと後部座席に座って汗を垂らしている。
Rさんはギョッとして、反射的に目を逸らした。
中に入ったら店員に伝えよう、あれじゃ熱中症になる。
そう思って目線を戻す。
車の中に子供がいない。
さっきまで座っていたはずの子供が消えていた。
見間違いであってほしいんですけど、幽霊的な何かな気がするんですよね。
Rさんはそう語った。
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