n=17 空き地の電話ボックス
Qさんの子供の頃の思い出。
近所の空き地の隅に、古ぼけた電話ボックスが据えられていた。その電話ボックスには少し妙な所があり、Qさんは興味を持っていた。
何が妙かと言うと、その電話ボックスには内側からガムテープで目張りされていることだ。中に見られては困る何かがあるのか、外から中の様子を伺わせないように、内側からガラスにベタベタにテープが貼ってあった。前後左右のガラス面に大量のテープが貼られている様は、異様としか言いようがない。
そこまで隠されると中が気になる。Qさんはそう思った。しかし興味があってもボックスの中を無理に覗く勇気はなかった。だから、中に何があるのかと悶々とする日々を過ごしていた。
だが、ある日気付くと電話ボックスは無くなっていた。空き地から綺麗さっぱりと姿を消していた。そこに電話ボックスがあったことを示すものは、ボックスを支え続けたコンクリの土台だけだった。
結局、中に何があったのかは覗けずじまいだ。
なんでテープ貼ってたのか、なんで急に撤去されたのか。たぶん理由を知れば「なんだそんなことか」ってなるんでしょうけど、未だに気になるんですよね。
Qさんはそう語った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます