奇談n景

n=47 横断歩道の旗振り

　oさんは地元のある横断歩道で妙なものを見るという。

　それはいつも起きるわけでなく、体感3回に1回ほどの頻度で起きるそうだ。

　横断歩道の前に立ち、歩行者信号が青に変わるのを待つ。

　歩行者信号が青になると、「通りゃんせ」が流れ始める。すると横断歩道に薄ぼんやりした軍服の男が現れるのだ。oさんは軍人さんと呼んでいるそうだ。その軍人さんは腰から抜いたサーベルを持ち、歩行者誘導するかのようにそれを振る。特にそれ以外のことは何もしない。

　なぜ横断歩道に軍人の幽霊が出るのか、なぜサーベルで歩行者誘導をしているのか、一切何もわからない。

　oさんはそう語った。