n=4 お気に入りの剃刀

 とある成人男性、Dさんの話。

 Dさんはヒゲを剃るのに一枚刃のT字カミソリを使っている。

 18歳の誕生日に父親から贈ってもらったもので、それなりの愛着があるそうだ。


 そのカミソリを使うと、一つ不思議な現象が起きる。

 洗面台の鏡の前に立ち、泡立ったシェービングクリームを顔に塗る。そしてカミソリを当てがい、ヒゲを剃る。その間は特になにもない。

 ヒゲを剃り終え、顔の泡を洗い流す。すると泡とヒゲが洗面台の排水口に吸い込まれていく。

 なぜか、その泡が赤く染まっているという。どう見ても泡に血が混じっているのだ。しかしDさんの肌には一切の傷がない。

 そんな現象がいつからか起きるようになっていた。


 ちゃんと剃れるから今も使ってるんですけど、なんか気味悪いですよね

 Dさんはそう語った。

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