感触はいかほど?

「リンゴジャム、案外よかったね」

 頬杖も邪魔になったのか、テーブルに顔ごともたれかかって夏目が言う。

 そう、育て方の問題かカモミール自体の香りがほのかだったので、リンゴジャムがうまくバランスを整えてくれた。

 ブルーベリーは、まあブルーベリーだった。

「ブルーベリージャムの二人はどうなの? けっこう話盛り上がってそうだったけど」

「来てくれるといいなあ。でも多分ウチは第三候補くらいじゃない?」

 やけに具体的な回答だった。

「三?」

「うん。ウチが頭の中にあるなら、その後も遊びに来てくれるかなって。体験期間長めだから、気に入ったところは二周目できるし。それがないってことはそう言うことかも」

 そんなものだろうか。

「じゃあ、リンゴジャムの男の子も期待できない?」

「どうかな? とりあえず女子ならだべりに来てさっさと仲良くなりたいと思うかな。男子はわからないけど」

 遠い目をする夏目は何か思うところがあるのか、それとも単に眠いだけなのかわからなかった。

 昨年自分はどうしていただろうか。入部先を決めたら、その後の放課後はさっさと家に帰っていただろうか、それとも部室に入り浸ったり、他の部活を冷やかしたりしていただろうか。

 多分前者だろう。みんながみんなそうとは言わないが。

「じゃあ、昨日来た三人はどう思う?」

「あのグループはないよ。来たとしても一人」

 最初に六人なんて言ったのは誰だよ。

「一人ってことは、あの子?」

「たぶん、その子」

 昨日飲み損ねた酸味のあるマーマレードの香りがよみがえった。

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