第23話 side???
時刻は昼。
アルクーツクの森の中で、フードを被った集団が疾走していた。見るからに後ろから来る何かを警戒しているのかしきりに後方を確認している。更にその4人の中の1人は森の中を走るのに慣れていないのか動きが辿々しい。
「大丈夫ですか?アリアナ様」
それを見かねて1人が声をかける。敬称をつけていることから呼びかけられた人物は立場が上なのだろう。
「ハア...ハア....。え、ええ私は大丈夫よ。先に進みましょう」
本人は先に進むことを優先するが、呼びかけた側はこのままいけば途中でなんらかのアクシデントに合う可能性が高いと判断して休憩を勧める。長い間休憩がとれず、碌に眠ることも出来ておらず、目の下にはくまがある。
「もう充分追手との距離は稼げたかと。一旦休憩にしましょう。勿論休憩中も警戒は怠りませんので」
「で、でも急がなきゃ....」
焦っているのを諌めるためにもう1人の護衛が声をかける。
「ここで無理矢理強行してもどこかで結局休むことになりますよ。それに貴女がいなければ我々だけが王国に到着しても意味はないでしょう?」
「うっ....」
正論を言われて何も返すことが出来ず、2人の主張に賛成せざるを得ない。もう1人の護衛は終始沈黙を貫いて、周囲の警戒に意識を向けている。
水分補給などを済ませて、空気が弛緩した頃、沈黙していた護衛の1人が口を開く。
「....来る」
この一言を聞いて、即座に広げていた荷物を片付けて茂みの陰に身を隠す。咄嗟にここまでの動きが出来るあたり、余程訓練を積んだと見て取れる。
それから数十秒が経過すると忠告通り、黒いマントを被り、武装した集団—それも4人や5人ではなくざっと10人はいる。足手まといもいる上、数的にも不利な彼女らでは戦闘を避けるのも当然だろう。
出来るだけ物音を立てないように隠れたことや、早めに敵影を察知できたことが功を奏したのか武装集団は去っていった。
ほっと一息をつくが、決して警戒を緩めることはない。
森を抜けるまで後何度こんなことを繰り返せばいいのか、そんな事を物憂げに考えながら一行は歩みを進めるのだった。
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短めですがこれで一章完結です!二章開始まで少し時間が掛かると思いますがどうぞよしなに!
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