第21話 黒竜イージス
眼前の黒竜と向き合うノア。黒竜に対して[解析]と[隠密]を同時に発動させ、密かに[解析]を行う。
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種族名:黒竜
個体名:イージス
所持スキル
・竜王覇気 ・竜鱗 ・解析
・
・
・???
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(思ったよりスキルの数は少ないな。だが[
イージスのスキルを確認し、警戒すべきものに目星をつける。[竜王覇気]による圧迫感を[威圧]スキルで打ち消しながら臨戦態勢に入る。
戦闘開始を宣言してから両者は一歩も動いていない。そろそろ痺れを切らしたのかイージスが動きを見せる。
大顎を開き、以前見たような
「同じ技は二度喰らわないよ。「星砕き」」
拳に闘気を集め、奥義を打つ。黒く染まった拳と
相殺したときの光で一瞬視界が奪われ、その隙にイージスは前足を振り上げ、ノアを切り裂こうとする。
刀身で受け、衝撃を地面に流すとすぐにその場を離れてイージスに飛びかかり、その首を斬ろうとするも、硬い鱗に阻まれてしまう。
(魔力を込めた剣をスキルで強化した膂力で振るっても擦り傷しかつかないか....なら更に大きく、鋭くするまで!)
一方、イージスがノアから受けた小さな傷は[自己再生]により既に完治しているが、自分の身体に傷をつけたことに驚いているのか挙動が止まっている。それを好機とみるやノアはスキル[轟雷]を発動し、イージスに雷をたたきこむ。
スキル[轟雷]
雷を操るスキルで、その最大火力は自然界に起きる雷をも超越する。問題は元来の電気としての性質に引っ張られることだが、幸いにしてここは森の中。雷に影響を及ぼすようなものはない。
ノアが現在持っている中で最大級の威力を誇る[轟雷]だが、黒竜であるイージスにとっては致命傷にはなり得ないということが判明した。
(ノーダメージってわけじゃあないのか。なら倒れるまで叩き込む!ヒット&アウェイか)
そう考えてイージスの周囲を走り回りながら雷を撃つ。
『脆弱な人間がぁ!!我に傷を与えるなどあってはならんのだ!!』
イージスも負けじと[
(あの竜巻は[轟雷]じゃ破れないな。恐らく[
打開策を練っていると突如風が止む。イージスが姿を現し、翼を羽ばたかせると黒い風が吹き始める。何らかの攻撃かと訝しむも先程までの荒々しい雰囲気の技ではない。しかし[直感]スキルがこれまでで一番の警鐘を鳴らしているのに従い、今だせる最高速度で風の範囲外に逃れようとするが一足遅かったのか左足が巻き込まれてしまう。
だが何も起こらない。気のせいかと思ったとき、足に鈍い痛みが起き、力が入らず地面に膝をついてしまう。足を見ると服が破れ、素足が溶けているのが目に入る。
(腐食攻撃!?不味い!足を潰されるとッ!)
ノアが動けなくなったのを見計らってイージスが刃が混ざった暴風をノアに叩きつける。全身が斬られるにとどまらず、余りの威力に木々を薙ぎ倒していく。
「カハッ.....!」
転がってイージスの追撃を避けるが、最早戦えるようなコンディションではない。
(一撃...一撃でこの威力かよ....!)
「クソ...バケモンが」
『わかったか?それが貴様ら人間の限界だ。確かにお前は我に傷をつけた。だがそれまで、それで終わりなのだ。現に我の身体には傷一つついていない。お前が与えたダメージも既になくなっている』
「嘘をつけ...嘘を。[轟雷]で蓄積..したダメージ..は治ってないだろ。[自己再生]でそんな早く治るはずがねえ」
『フム...。思ったよりもスキルに対する理解が深いようだな。確かにまだダメージは残っているが満身創痍の貴様を殺せない程ではない。残念だったな貴様の涙ぐましい努力もなんの意味もなさん』
「そいつはどうかな?やれ!モルス!」
ノアの影の中から特大の腐食弾が飛び出し、イージスに直撃する。イージスの翼の大半を溶かし、飛行を不可能なまでに損傷させる。
『ガアッッ!我の翼が!』
「ナイスだモルス。[超速再生]で傷も治ったし...出て来いお前ら」
そう呼びかけると影の中から更に四体の影が出現する。
「さあ!第二ラウンドを始めようか!」
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