第11話 ワイズエイプ
これまで何体か魔物を倒してノアはスキルを手に入れて来た。自分を殺そうとした家族に復讐するため。また、強くなるために。
そのためには避けて通れないことがある。
それは対人戦、だ。
相手が人間と魔物とでは天と地程の違いがある。かたや本能のままに戦う魔物、高い技術のある人間だ。確かに魔物も時に考えて攻撃してくる。それは弱肉強食の世界で生きてきたからこそ人間よりも危険な一撃になりうるるものだ。
それを加味しても体格の差や技術の差はそこらの魔物では相手にならない。
そう考え、ノアは今絶壁の崖を登っていた。
一応捕捉しておくと崖を登るのが目的なのではなく崖の上に住んでいる魔物が目的だ。
「[剛腕]と[豪脚]があるとはっ!いってもっ!きっついな!これ!」
そんなことを愚痴っていると手をかける部分が割れ、落下しそうになる。すぐに次の取手を見つけたからよかったものの、それがなかったらとゾッとする。
目下に広がるのは地上100mの絶景だが...
[硬身]があるとは言えこの高さから落下すればただではすまない。よくて全身骨折、悪くて死亡だ。
(どんな絶景でも見る場所が変われば恐ろしく見えるんだなぁ。願わくば安全な所で見たかった....。)
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崖を登り始めてからかれこれ一時間ほど。遂にノアは崖を登りきった。
「よっしゃー!俺はやり遂げたぞー!」
達成感を表すようにノアは思い切りそう叫ぶ。一時間もかけて登ったのだ感動もひとしおだろう。
「やったぞ俺は....!魔法を使わず登りきった...!」
前回同様 魔法を使わなかったのはそうゆう約束をしていたからだ。
この崖を居住区にしている魔物の名前はワイズエイプ。名前の通りに猿人型の魔物だ。危険度はB。人間と近い知能、肉体をもち、その影響で個体によってはAランクを超える者もいる。
そのことから、「ワイズエイプを見たらまず逃げろ。」という言葉もあるほどだ。理由は主に二つ。
一つは、先程述べた個体差によるランクオーバーを防ぐため。ランクオーバーとは、亜種などが発生した場合などに起こる事前に確認されたランクと実際のランクの違いによって低ランクの冒険者が被害を被ることだ。ランク虚偽とも言う。
二つ目は、そもそも手強い相手なのに使える部位がないことだ。毛皮も死んだ後は使いものにならないし牙も性能でいうなら赫狼のほうがいい。
だから満遍なく機能は備えているが突出した所がない。というのがワイズエイプに対する認識だ。
話を戻すと、約束というのは以前ここのボスであるワイズエイプに取り付けた約束のことである。森で魔物を探していた所それを見つけ、勝負を申し込みも完敗。
それは当然のことだ、許可をもらい解析するとランクSのネームドモンスター。しかも人語を解する魔物だったのだから。
(あいつの技術を学ぶために頼み込んで承諾されたはいいものの。崖を実力でのぼって更にその上で力を示せとは...。常人には無理だぞ?)
内心で愚痴を浮かべるが足音がして思考を中断。音の発生源に目をむけるとそこには筋骨隆々のワイズエイプが立っていた。
「おまえがあの方のおっしゃっていた人間か?」
(喋った!?てことはエイプの中でもかなり上位に位置するってこと....!)
「ああ、修行をしにきた人間っていうなら俺のことだ。それであんたは?」
エイプが口を開く。
「おれはお前の案内係兼お前の力を測るようにいわれた者だ。指導をうけたいのならまずは力を示せ!」
「望むところだよ!それで?あんたを倒せばいいのか?」
「お前にそれほどの技術は求めていない。俺に一撃でも与えられればそれでいい。さっさと始めるぞ、かかってこい。」
真顔でエイプはそう答える。
特段本人からすればばかにしてるわけではないのだが、他の人が聞けば煽りにしか聞こえない。
「余裕だなあ。後悔すんなよっ!」
喋り終わると同時に[疾走]と[豪脚]を使ってエイプの背後をとる。
いや、取ったと思った。気づけばノアは背後をエイプに取られていた。
(なんにも見えなかったぞ!?)
「これも捕捉できないとは...。やはり未熟だな。下でもう一度やり直して来い。」
そう言ってノアを突き飛ばす。崖の近くで戦っていたのだからもちろん突き飛ばされれば足場はなくなる。
「はっ?」
一瞬惚けたように呟くと次の瞬間には落下を始めた。
ノアは顔を怒らせでこう叫んだ。
「覚えてろおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!絶対っぶん殴ってやるうぅぅぅぅ(やるぅぅぅ、やるぅぅ、ぅぅ(エコー))」
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前から思ってたけど戦闘シーンって書くの難いっスね.....。
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