第200話 【検閲】

(※注)カクヨム様の利用規約を遵守するため、本話は成人向け要素に該当する箇所をすべて【検閲】という文字列に置き換えております。あらかじめご了承ください。以下、小説本文となります。





 あとから入室してきた美青年は、その細く長い指でケインの【検閲】を下方から上方へ、上方から下方へと【検閲】し、空いていた右手で【検閲】を掌へ載せ、転がすように【検閲】。

 ケインの【検閲】は、美青年の掌の中でたちまち【検閲】し、その【検閲】を【検閲】。

 美青年は左右へとせわしなく移動し、ときに【検閲】を【検閲】ながら、左右に並ぶ受験者たちへと、満遍なく【検閲】を見せつける。

 初めて見る男性の痴態に、たまらず顔を赤らめる者。

 試験と割り切って冷静に観察している者。

 無感情で淡々と見つめる者。

 好奇心に駆られて食い入る者──。

 受験者たちの反応は様々だが、リムはその最後のケースに当てはまった。


(こ……これはっ! お師匠様のに収められていた漫画の……シチュエーション! まさか軍の試験で、その現実版を見ることになるなんて……!)


 それまで隠れ気味だったケインの【検閲】が、美青年の【検閲】で【検閲】に【検閲】され、【検閲】した【検閲】を露にした。

 リムは眼鏡のフレームを指先で強くつまみながら、無意識に前のめりになる。


(おおおぉ……! あの漫画では黒い棒線で塗りつぶされていた部分が、明らかに……って! どうしてわたし、こんなに見入ってしまってるのおおぉ!)


 もどかしそうに、内腿をくっつけたり離したりするケイン。

 【検閲】の【検閲】からは、とうとうと【検閲】が溢れ、【検閲】は【検閲】と【検閲】。

 やがて美青年が両手を離し、しばし間を置く。

 無意識に息を止めていたリムが「ふううぅ……」と吐息を漏らすと、何人かの受験者が、それに追従して息継ぎ。

 その中にあってナホは、いまだに息を飲んだまま。


(わ、わたし……。いま、どんな気持ちでいればいいの……? ケインがあんなことされてかわいそう……って、悲しむべき? こんな試験に、鼻の下伸ばしてヘラヘラ志願したケインに腹立てるべき? それとも、ケインの裸を見れて……喜ぶべき? わ……わかんないっ! わかんないっ!)


 ナホはどういう顔をしていいかわからず、幼馴染の想い人、ケインの【検閲】を半泣きの顔で見続ける。

 再び美青年が動き出し、【検閲】の【検閲】に両手を添えて、顔を【検閲】へと寄せていき、口を【検閲】。

 リムも思わず、口をその形にしてしまう。


(あ、あれは……! あの漫画にもあった【検閲】という行為! 本当に口で…………あっ……ああぁ……あーっ……あぁ……あっ……ああああぁ!)


 ──【検閲】。


 美青年の【検閲】へ【検閲】される【検閲】。

 ケインがたまらないといった様子で、内腿と膝頭をぎゅっとくっつける。

 美青年はそれまで【検閲】の【検閲】をさすっていた両手を、ケインの両太腿に添え、大胆に【検閲】を【検閲】し始める。


 ──【検閲】!


 【検閲】と【検閲】が絡む音が、大仰に響き始める。

 これまで平静に観察していた受験者の中から、冷静さを維持できなくなり、凝視し始める者も出る。

 リムは首から上を真っ赤に染めながら、二つの肉体の一挙一動を凝視。


(記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶……!)


 美青年は時折、息継ぎ代わりに顔を離して【検閲】を【検閲】し、【検閲】の【検閲】辺りを【検閲】つつ、その【検閲】を【検閲】。

 そして再び【検閲】に【検閲】……を繰り返す。

 リムを始めとする一部の受験者にとっては、とても長く感じられる濃密な時間。

 しかし、ケインの体の微妙な変化を感じ取った美青年がサッとわきへ避けたとき、この淫猥な時間に終わりが訪れた。


 ──【検閲】!


 ほとばしる【検閲】。

 受験者の乙女が左右に八人ずつ列を成す花道を、【検閲】の【検閲】が放物線を描いて飛翔。

 初めて見る者と見慣れた者が織り交ざる左右の列から、吐息のみによるざわめきが上がる。

 ロミアが試験冒頭で述べた「射精を見てもらう」が、いま実行された。

 リムは衝動で頭の中を真っ白にしながらも、瞳は精密機械のように、その色合い、質感、量、飛距離を記憶する。


(す、すごい……。漫画で見たのと同じように、あんなに……)


 ──パンパンパンパン!


 拍手とも合図とも受け取れそうな調子で、手を叩くロミア。

 受験者の視線がいっせいにロミアへと向く。


「みんな、しっかり見た? いかにもガッツリ見たって感じの赤い顔の子、何人かいるわネ。ウフフフッ?」


 その言葉を受けてリムは、思わず自身の両頬へ両手を当てた。

 まるで熱病に浮かされているように火照っており、その恥ずかしさからますます顔に血が上る。

 ロミアが淫靡なしぐさで唇を指先で撫でながら、話を継続──。


「……とこのように、射精は相手が女性である必要はないの。下世話な話、であっても……ネ? まあ、初めて見た子には刺激が強かったかもしれないけれど、人体の構造を知っておくことは、戦いの場でとても大切なことヨ? いい?」


 半ば同意を強制させるようなロミアの物言いに、受験者の大半がこくこくと頷く。


「よろしい! では、二次試験学問の部は、これにて終了っ! みんなすみやかに、表の馬車へ戻ってちょうだい。ウフフフッ♪」


「「「「「「……はぁ?」」」」」」


 出題がないままの唐突な試験終了に、一部の受験者たちが疑問の声を上げた──。

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