第006話 予備試験概要
戦姫團は、15歳から24歳の乙女のみで編成される陸軍の特務部隊である。
軍の後方支援活動、ならびに国民へ向けた広報活動に当たる。
剣術、弓術、砲術、医術、
戦姫團の入團試験は4年に一度行なわれる。
受験資格者は15歳から18歳の女性で、居住地域の首長の推薦状が必要。
推薦状は各地域ごとに規定の枚数を発行。
推薦状は受験票を兼ねる。
入團試験は、予備試験、一次試験、二次試験からなる。
全試験終了まで2週間程度の期間を要する。
一次試験合格者には、成績に見合った教員免許が発行される。
二次試験不合格の際、受験申請をした居住地域において教職に就ける。
二次試験合格をもって戦姫團採用とする。
『予備試験』
予備試験は城外の特設会場で行う。
予備試験は「歌唱」「学問」「武技」「華麗」の4科目で構成。
それぞれで、「
4科目中2科目で「甲」を得た者が合格とされ、一次試験へ進める。
『歌唱』
受験票記載の課題曲を、伴奏なしで独唱する。
評価に応じて試験官が、甲なら3回、乙なら2回、丙なら1回、
受験者は鳴鐘をもって、すみやかに歌唱を止めなければならない。
試験官、および歌唱力の判定は、戦姫團の音楽隊が担当。
──大勢の受験者をさばく都合上、そのほとんどがフルコーラスを歌いきることはなく、1分も経たず歌唱力を判定され、鐘を受けた。
極端に音程が外れている者は、無情にも10秒程度で「カーン」という鐘を受け、場を追われた。
『学問』
受験者一斉の一般教養筆記試験。
解答を終えた者は、答案用紙を裏返した上で退場できるが、再入場は不可。
採点は次の武技試験中に行われる。
試験官、および採点は、戦姫團員が担当。
──木製の長机1基ごとに3人ずつ座らせられ、国語、数学、歴史、生物、道徳の問題が列記された問題用紙と答案用紙を数枚渡される受験者。
制限時間を半分も使わずに解答を終え、退場する者が続出。
受験者のレベルの高さを伺わせた。
一方で、制限時間いっぱい頭をフル稼働させる者、退場者を横目で追って焦る者、筆記試験は捨てて早々に退場し、武技試験に向けてアップを始める者……も、多く見られた。
『武技』
身体能力の測定と、剣の型の確認を、10人1組のグループごとに行う。
身体能力は、徒競走、幅跳び、高跳び、遠投、腕立て伏せを通じ、測る。
剣は会場に用意された
試験官、および採点は、戦姫團員が担当。
──町側から見て兵舎の奥にある、弓の射的場を使って行なわれた。
受験者には試験前、白い半袖の丸首シャツと紺色のショートパンツを組み合わせた運動着が渡され、それに着替えさせられた。
頭が回る受験者はその着替えを「麗しさの判断材料」「反社会的なタトゥーの有無確認」「簡易的な
太腿を露にする羞恥に堪えられず泣き出し、普段のパフォーマンスを出せなくなった者もいた。
『華麗』
歌唱、学問、武技を通じ、立ち居振る舞いなどから判定する。
──詳細は告知されず、各々が自分なりに気を配らなければならなかった。
常に背筋を伸ばすことに気を配る者、終始柔らかな物腰で通す者、芝居がかったアクションを取る者……等々、十人十色。
運動着から白い下着をはみ出させていることに気づき、慌てて直す者もいた。
『合否通知』
各科目の判定結果は受験票裏面に記載。
武技試験終了後の受験票返却をもって、合否通知とする。
受験票は一次試験受付時に必要なため、予備試験合格者は引き続き要保管。
『注意事項』
不正行為をはたらいた者はその場で不合格とし、退場を命ずる。
試験官の指示に従わぬ者も同上とする。
受験者同士の私語は固く禁ずる。
体調に異変を来した者は、左手を挙手の上申し出、試験官の指示を仰ぐこと。
城下町において、不合格者を狙った悪質な勧誘行為が散見されるため、不合格者は注意の上、速やかに帰郷すること。
『補足1』
一次試験以降は城内で行なわれる。
その概要は、追って通知する。
試験期間中は、許可なく城外へ出ることを禁ずる。
『補足2』
一次試験以降は、身辺の世話を目的とした従者の同行を、二人まで認める。
従者は女性に限られ、年齢、職業に制限はない。
従者は試験会場内の施設を、受験者と同等に使用できる。
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