元カノの思い

「NY支局でもいっぱい記事を書いてください。これどうぞ」


 最終出勤日。

 

 屈託のない笑顔で田中楓は、栄転祝いをくれた。


 罪悪感。


 社内不倫の末、結局、俺は妻を選んだ。


 後輩記者の楓を捨てた。



 帰宅後、紙袋の中を確認する。


 メッセージが同封されていた。


「この万年筆と便箋、いっぱい使ってね」

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