第11話
そうして聖女が来ると連絡が入った1週間後、1台の馬車が村へ到着した。
馬車には聖結界が施されていたようで護衛の騎士達は付いていない。1人の白いローブを着ていた少女が侍女と共に馬車から降りてきた。侍女は少女に何か話をし、馬車から荷物を取り出し地面に置くと馬車に乗り込み、引き返してきた。
やはり少女に付けられていた監視という名の侍女だったようだ。少女はその事を気にする様子もなく荷物をヨイショ、ヨイショと背負い歩いてこちらへ向かってきた。
「勇者パーティーの人達ですか?」
「ええ、そうよ。貴女が聖女紋の方?」
「はい!私、松井 光って言います!ヒカリと呼んで下さいね!これから魔王退治に向かうんですよね?バンバン倒していきましょうね!」
ヒカリの明るい雰囲気に私達は戸惑った。魔王討伐に悲壮感は全く感じられない。それどころか簡単に倒せるような言い方だ。
私達は簡単に挨拶を済ませて村外れで訓練をしていく。ヒカリは今まで自主訓練をした事が無かったらしく、つまらないとぼやいている。
そうしてヒカリと5人で村を出て魔物討伐をしながら攻守のバランスを考えていった。
1週間ほど経った頃、
「アレット、いつになったら魔王退治に行くの?あたし疲れちゃった」
「ヒカリ、魔王は簡単には倒せないのよ?分かってる…?みんな必死なの、分かって頂戴」
「面倒くさーい」
「アレット、私達も強くなったと思いますよ。紋章の色も深い色になって随分経ちます。そろそろ頭の弱い彼女は我慢の限界でしょうから魔王討伐に向かいましょう」
「… ロイク。分かったわ。オノレもモルガンもそれで良いかしら?悔いは無い?」
「ああ。大丈夫だ」
「俺も良いよ。当たって砕けろさ!まぁ、砕ける気はないがな!」
女神様が紋章を刻む時におおよその魔王退治が出来るレベルになるとそれぞれの紋章の色が濃くなる仕組みになっていて歴代の勇者達はそれを目安に魔王討伐に向かう事になっている。
今回はずっと4人だったため紋章が色濃くなった後も私達は訓練を続けていた。ヒカリだけ紋章の色が淡い色なのは気になる所ではあるが、私達がカバーすればなんとかなるだろう。
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