第43話 ミーヤ


 私は、ごくごく普通の一般家庭に生まれた。

 貧民という訳でもなく、裕福という訳でもない。

 私の父親は鍛冶師として働き、母も働きに出て家では一人で過ごす事が多かった幼少期。

 危ないからと言われ、明るい間以外は一人で出歩く事も禁止され、家の中で過ごす時間が殆んど。

 私の家には、一冊だけ魔導書があった。

 本当に初級で、誰が綴ったのかも分からない様な胡散臭い本。

 ソレを、ひたすらに読み耽った。

 魔術の基礎を学び、書かれていた魔法を練習する毎日。

 それでも、幸せだったのだ。

 両親が帰ってくれば、二人共笑顔を向けてくれる。

 お母さんが、美味しいご飯を作ってくれる。

 夜には私が使えるようになった魔法を披露して、二人から褒めてもらえる。

 とても普通で、平穏で、緩やかな日々。

 でもその日常は、ある夜を境に一変した。

 家に強盗が入ったのだ。

 些細な、と言って良いのか分からないが。

 普通でも十分にあり得る脅威、そこら中に転がっている不幸。

 当たり前に聞くその話の一つに、私たちも加わってしまっただけ。

 大して奪うモノが無かったせいか、彼等は激高した。

 父を殴り、母を蹴り、私に剣を振り上げた。

 このままじゃ、死ぬ。

 多分、生存本能だったのだろう。

 私は彼に掌を向け、詠唱さえせずに魔法を放った。

 今までの魔法は何だったのかという程鋭く、ただただ殺すだけの魔法を放ったのだ。

 その魔法は彼の顔面を貫き、絶命させた。

 コレが、私の初めての“殺し”。


 「……はっ、はっ、はっ!」


 訳が分からなかった。

 いつも使っていた魔法が、急に凶器に変わった瞬間。

 目の前の男は顔面に穴を開けながら、多くの血液を噴射して後ろに倒れた。

 その血を全身に浴びながら、呼吸さえも忘れて胸を押さえていれば。


 「ミーヤ!」


 それが父の声だったのか、それとも母の声だったのか。

 今では思い出せない。

 私が殺した男の仲間達が、激高して剣を振るったのだ。

 私を庇って、二人は死んだらしい。

 気付いた時には兵士に囲まれていた。

 周囲には血だまりと、家の壁にいくつもの穴が開いていた記憶はある。

 全部私がやったのか? この全てを、私が殺したのか?

 考えるだけで怖かった。

 お父さんとお母さんが死んでしまった事とか、人殺しになってしまった事とか。

 罪人として首を刎ねられるかもしれないとか、そうならなくてもこれからどう生きて行けば良いのかとか。

 様々な思考が飛び交ったのを覚えている。

 真っ赤に染まったその手を見つめて、呻き声の様な泣き声を叫んだ記憶。

 そんなモノと共に、ずっと生きて来たのに。


 「ミーヤさんの手は不思議です」


 「何か、変でしょうか?」


 彼は、いつも私の手を握って優しい微笑みを溢してくれるのだ。

 血で汚れたはずの、この手を握って。


 「とても落ち着きます、好きですよ。ミーヤさんの手」


 治療を施している時など、彼は眠ってしまう事が多かった。

 私なんかの手を、好きだと言ってくれる少年。

 最初は迷惑を掛けてしまった人へと贖罪の為に始めた新人教育。

 だというのに、すぐに居心地の良さを覚えてしまったのだ。


 「私も、好き。ミーヤさん、あったかい」


 まるで猫みたいに、妹の方もくっ付いて来る。

 本当の家族が出来たみたいだった。

 聞き訳が良くて、真面目な弟。

 一生懸命だけど、どこか甘えん坊の妹。

 二人の事が、気付いた時には大好きになっていたんだ。

 そして、時が流れる内に関係は変わって行った。

 真正面からこちらを見つめ、「好きだ」という言葉を貰ってしまったのだ。

 その時その瞬間から、彼を“弟”だと見られなくなってしまった自分が居る。

 今までだったらギュッと抱きしめても、慈しみを覚えた。

 だというのに彼の事を“男”だと感じ始めてからは、とにかくドキドキしたのだ。

 本人の態度も殆ど今までと変わらない様な、些細な違い。

 しかし私ばかりがドキドキして、彼はいつだって落ち着いているのだ。

 なんだか悔しくて、いつも意地悪な態度ばかり取ってしまったけども。

 それでも、楽しかったのだ。

 共に歩めることが、幸せだったのだ。

 驚かされたお返しのつもりで、治療の時に告白した。

 野営の時に少しだけだけど、唇が触れた。

 くっ付いてみれば、嫌な顔一つせず私を受け入れてくれた。

 そんな彼が、大好きだったのだ。


 「リック、さん……居ますか?」


 上手く舌が回らず、随分と息が苦しい。

 何だが、舌の奥が痺れているみたいだ。

 変な声に聞えていたら嫌だな。

 そんな事を思っている内に、いつもの温かい感触が掌を包んだ。

 あぁ、これは間違いなく彼の掌だ。

 彼の温もりを感じて、安心した息が漏れる。


 「良かった、居てくれたんですね」


 ギュッと掌を握ってみれば、自然と握り返してくれる。

 貴方の手こそ不思議です。

 今とても苦しいのに、死んじゃうって言うくらい全身が痛いのに。

 この手を握っているだけで、何故かホッとするんですから。

 大好きです、愛しています。

 そう伝えたかった。

 一緒に居て下さい、前に貴方が言った様に「おかえり」って「いってらっしゃい」って言える存在になりたいです。

 もしもそんな未来が来るなら、私たちの家はドレイクさんの家の近くに建てましょう。

 きっと楽しい筈です。

 皆なら毎日誰かしら顔を見せに来てくれて、もしも子供とか出来たら、絶対可愛がってくれます。

 過保護なドレイクさんなら「お爺ちゃんだよー」なんて言いながら、毎日私たちの子供の相手をしてくれるかもしれません。

 そんな未来を想像するだけで、私は幸せでした。

 私には、幼い頃にしか“家族”という記憶が無いから。

 奪われた記憶しかないから。

 皆に囲まれているだけで、皆が笑顔で私を迎えてくれるだけで。

 この上ない幸せでした。

 だから。


 「お願いがあります、リックさん……どうか、私を“忘れて下さい”」


 もう生きられないであろう私は、彼に願うのだ。

 この人の人生の重荷になりたくないからこそ、そう紡ぐのだ。

 私はもう充分に幸せだった。

 家族を奪われた小娘が、泥水でも啜りながら生きて来た半端者が。

 今では皆に囲まれ、笑いながら過ごす事が出来ていたのだ。

 私はもう、十分だ。

 優し過ぎる彼はきっと、私の死を引きずってしまう。

 だから、忘れて下さい。

 大好きな貴方がまた笑って過ごせるのなら、私なんか忘れて良いから。

 もっと良い人を見つけて、家族になって、笑って過ごせるなら。

 少しだけ嫉妬してしまうかもしれないけど、それでも。

 この先私の事を思い出して泣く彼を、見たくないと思ったんだ。


 「私は、中途半端な……魔術師でしたから。もっと良い人をみつければ……きっと、楽になる筈、です」


 大好きです、ずっと隣に居たかったです。

 本当は忘れて欲しくないです、ずっと覚えていて欲しいです。


 「皆強いですから、そうすればもっと安定する……パーティに……」


 離れたくない、傍に居たい。

 貴方の隣に、いつまでも立って居たかった。

 でも、私じゃ力不足だから。

 いつか邪魔になる存在だから。

 コレで良いんだ。

 無理やりにでも納得させて、溢れ出しそうな感情を押し込めていれば。


 「うるさいっ! 俺は……俺はっ! 貴女に隣に居て欲しいんです。ミーヤさんと一緒に、生きたいんです! だからっ!」


 彼は、誰かを守る時少しだけ言葉が荒くなる。

 あぁ、久々に聞いた。

 この人から怒鳴られた事なんて、多分最初のゴブリン戦以来だろう。

 ちゃんと守ってくれている、助けようと奮闘してくれている。

 言葉だけで、十二分に伝わって来る。

 今はもう目が見えないから、彼の表情を見る事は出来ないが。

 それでも、伝わって来る。

 彼の想いが。

 暖かい、今まで感じてきた何よりも。

 彼の心は、温かいのだ。


 「もうちょっとくらい、生きたかったなぁ……リック、リック……居る?」


 「ミーヤ! 逝くな! 絶対助ける! だから!」


 何だか、耳鳴りが酷くなって来た。

 あんまり声が聞えない。

 最後の言葉くらい、ちゃんと聞きたいのに。

 ぎゅっと掌を握りしめてから、もう一言だけ呟いた。

 もう、自分でも何を喋っているのか聞こえないけど。

 それでも。


 「どうか、幸せに……いつだって優しい貴方が、大好きでした」


 言葉を紡いだ瞬間、全身の力が抜けていくのが分かった。

 これがきっと、“死”と言うモノだ。

 嫌だな、怖いな。

 そんな感情を抱きながら、最期まで彼の温もりに縋った。

 私の意識が途切れる最期の最後まで、しっかりと意識できるのは、彼の掌のぬくもりだけだったから。


 ――――


 カクンッと、糸が切れた人形の様に彼女は大人しくなってしまった。

 そう、本当に人形の様。

 俺が手を放せば、この手は地面に落ちるのであろう。

 瞳は光を失い、全身から力を抜いた様に地面に横たわっている。

 知っていた筈だ、俺は。

 コレが人の死なのだと。

 ある日唐突に大切な人が居なくなる、明日から会えなくなって言葉を交わす事も出来ない事柄なのだと。

 父の時も、母の時もそうだった。

 本当に“些細な事”で、人は死ぬ。

 知っていた、筈だったのに。

 だというのに。

 今回だけは、受け入れられなかった。


 「ぁぁぁぁぁあああああ!」


 腹の底から、叫んだ。

 彼女の掌を掴みながら。

 いくら嘘だと否定しても、覆らない現実。

 そんなの分かっている、分かっている筈なのに。


 「嫌だ! ミーヤさん! ミーヤさん!」


 彼女の亡骸に、縋りついてしまった。

 以前はもっと、乾いた瞳で世界を見ていた気がする。

 妹が居るから、俺がしっかりしなくちゃって。

 そういう想いで、ただただ歩いて来た。

 でも、今はどうだ?

 彼女の死は、あまりにも唐突だった。

 ふとした瞬間に起こる事故、一瞬の判断ミス。

 もっとこうすれば、あぁしていれば、そんな今更過ぎる反省ばかり思い浮かんで悔やみきれない。

 本当に突然で、彼女の死は色鮮やか過ぎた。

 誰か身近な人が死んだとき、俺の瞳にはモノクロの様に映ったんだ。

 感情を外側に追いやって、無理矢理にでも“これから”を考えようとした。

 いつだって、守るべき存在の手を引いていたから。

 しかし、今回は無理だった。

 いくら思考を外へ外へと追いやろうとも、彼女の亡骸を視界に納める度に景色が色付く。

 彼女との思い出で、色鮮やかに塗りつぶされる。


 「あぁぁぁぁ!」


 「リック! 落ち着け、落ち着くんじゃ! まだ分からん! 諦めるには早い!」


 頭を搔きむしる俺をミサさんが抱きしめ、無理矢理自傷行為を止めさせる。

 でも、涙は流れ続けた。

 嗚咽は零れ続けた。

 彼女と共に逝ってしまいたいと願うのに、感情の渦が渦巻いているというのに。

 最後の言葉がソレを許してくれない。

 『どうか、幸せに。貴方が、大好きでした』

 全てが色鮮やかに染まった様な、俺にとっては優し過ぎる言葉。

 だからこそ彼女の遺体さえ、その色に染まっている。

 大好きだという俺の心が、彼女に色を付け続ける。

 いつまで経っても、白黒の“過去”になってくれない。

 ミーヤさんとの過去は、全てが暖かすぎるんだ。


 「……ミサさん、ミーヤさんの事お願いします」


 「待てリック、何をするつもりじゃ!?」


 「ちょっと、憂さ晴らしをしようかと思いまして……」


 ガツンと扉を蹴り開ければ、目の前にはゴブリン達と戦っているダグラスさんが。

 あぁ、まだ終わっていなかったのか。

 “良かった”。

 そんな感想を浮かべながら。


 「ダグラスさん、もらいますね」


 「え?」


 集まっていたゴブリン達の首を刃でなぞり、片っ端から刈り取った。

 なんだろう、妙に体が軽い。

 痛みも疲労も、全て忘れてしまったかのようだ。

 しかし、満たされない。

 いくら相手を切り刻んでも、いくらゴブリンの首を落そうとも。

 胸のド真ん中に風穴が開いた様に、虚空感だけが俺の中を漂っていた。


 「先に逃げて貰って良いですか、ダグラスさん。ミーヤさんも連れて帰ってあげて、今の彼女は……動けないから」


 「なっ!? リッ君だけ残るつもりっすか!? んな事出来る訳ないでしょうが! 俺だって戦いますよ! パーティじゃないっすか!」


 違うんだよ、ダグラスさん。

 今から俺がやろうとしているのは、ただの復讐。

 憂さ晴らし、八つ当たり。

 その程度のモノ。

 だから、付き合う必要なんかない。

 未だ声を荒立てる彼に、冷たい視線を向けてから。

 ほんの少しだけ微笑んだ。


 「ちゃんと逃げて下さいね? 後は俺一人でやるんで」


 「リッ君? どうしちゃったんすか……」


 えらく心配そうな顔を此方に向けるダグラスさんを無視して、大きく息を吸いこんだ。

 そして。


 「バァァァァルドォォォォ! サキュバァァァス! 俺を殺してみせろぉぉ!」


 「リッ君! 駄目っすよそんな大声上げたら!」


 もう、どうでも良い。

 ただただ、ミーヤさんを死に追い詰めた原因を作ったアイツ等が憎い。

 今すぐにこの双剣を叩き込んでやりたい。

 そうしないと、腹の中でグツグツと煮えかえるこの感情が発散できそうにない。


 「見つけたぜ、クソガキィィ!」


 “獲物”が、やって来てくれた。

 建物脇から出て来たボロボロになっているバールドが、荒い呼吸を繰り返しながらこちらを睨んでいた。

 今はちゃんと二足歩行で歩いているが、新しく生えた腕はそのまま。

 あぁ、なんだろう。

 あの姿を見て、最初は恐怖したのに。

 今では“醜い”という感想しか浮かんで来ない。


 「お前が居なければ」


 「あ?」


 「お前さえ、存在しなければ」


 「何を言ってやがる、クソガキ」


 はぁ? とばかりに口元を歪め、汚い顔面を更に歪めるバールド。

 あれはもう人間とは呼べないだろう。

 だったら、良いよね?

 静かに眉を顰め、その場から踏み込んだ。


 「リッ君! 駄目っす! そんな正面から!」


 「ボケがぁ! てめぇ如きが一人で俺に敵うとでも思って――」


 二人の叫び声が聞こえ、片腕に痛みを感じる。

 一気に飛び込んだ俺に対して、相手は武器を真正面から振り下ろした。

 それを左腕で防いで、右手の剣を相手に叩き込んだ。


 「あぁ、こうすれば届くんだ。結構簡単だな」


 「て、てめぇ……」


 左腕を負傷したけど、右手に持った剣は確かに相手の胴に突き刺さっていた。

 ソレを捻り、上に向かって無理矢理振り上げる。


 「ガァァァッ!」


 獣みたいな声を上げながら、バールドが俺から離れた。

 内臓は飛び出しているし、腹から胸に向かって深い裂傷が出来ている。

 普通ならすぐに死んでもおかしくない傷だというのに、やっぱり人間じゃないのか。

 まぁ、そうでないと“困る”が。


 「なにやってるんすかリッ君! すぐ左腕の治療を!」


 俺の前に飛び出して来たダグラスさんの言葉に、自分の左腕を見下ろしてみれば。

 鎧を貫いて肉が裂かれたらしい、もしかしたら骨まで届いてるかも。

 ダバダバと勢いよく出血し、剣を握る掌も震えている。

 あぁ、脆いな……俺は。

 先程の一撃で刃が欠けてしまった剣を放り投げ、もう片方を右手に持ち替えた。

 それから籠手を脱ぎ捨て、バッグから取り出した布で縛り付けて無理矢理出血を止める。

 滅茶苦茶な応急処置だし、なんだか鎧の破片が傷口に刺さっている気がするけど……どうでも良いや。


 「ちょ、ちょっと待ってください! 頼みますから下がって! そんな傷で何前に出ようとしてるんすか!?」


 「ごめんダグラスさん……ちょっと邪魔」


 やけに止めて来る彼を押しのけてから、再びバールドと向き合った。

 そして。


 「クソ雑魚がぁぁぁぁ!」


 「うるさいんだよ、お前……」


 両者一斉に飛び出し、すぐさま眼前に相手の剣が光る。

 やはり、速い。

 彼の剣の切っ先が、右肩に突き刺さるのを感じた。

 三本目の腕からの攻撃だから、やけに上から突き刺さって来た。

 でも、関係ない。

 動けば良い。


 「あぁぁぁぁ!」


 雄叫びを上げながら、相手の首に刃を突き立てた。

 肩をブッ刺されているから、上手く力が乗らなかった。

 首を貫通させてやるつもりで刺したのに、半分くらいしか刺さっていない。

 だったら。


 「うぅぅ!」


 剣の柄に思い切り噛みついて、全力で相手の首に押し込む。

 身体強化もフルに使って、全身の捻じりを使って。

 相手を殺す為だけに、腕を犠牲にしてでも思い切り顎に力を入れて突き刺した。


 「何なんだよ、お前は……まるで獣じゃねぇか……」


 目を見開きながら、バールドが呟いた。

 こんな状態でも声が出せるのか、コイツは。

 化物が。


 「んんんっ!」


 噛みついた双剣の片割れを、思い切り薙いだ。

 あまりにも無理矢理動いたためバールドの剣は折れ、俺の体に刀身の先を残す。

 だが噛みついたまま横に薙いだ俺の剣は、文字通り皮一枚残した状態でバールドの首を切断して見せた。


 「化け物め……」


 未だ鬱陶しいく喋る頭に向かって、もう一度剣先を叩き込めば。

 彼はゆっくりと後ろに倒れ、そのまま動かなくなる。

 勝った、俺一人でも。

 もはや口の中が血の味で溢れている。

 身体強化まで使って、骨を断てるくらいに剣を力強く噛みしめたのだ。

 歯だって割れているかもしれない。

 左右の腕も、さっきから感覚がない。

 でも、勝ったのだ。

 口から剣を取り落とし、空を見上げた。


 「勝ちましたよ、ミーヤさん。俺、強くなってますか?」


 その返事は、返って来てくれなかった。

 当たり前だ、何たって彼女は……。

 もう一度だけで良い、今だけは。

 彼女の言葉がどうしても聞きたかった。

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