第14話 過剰戦力
「知っとるかドレイク。若い冒険者の死亡率が高いのはダントツで討伐系の初仕事じゃ。お前やファリアの様な化け物ではパッとイメージし辛いかもしれんがな」
ミサの一言により、俺達は緊急会議を開いた。
参加者は俺、ミサ、ファリアの三人。
ミーヤに連れられ、子供達はギルドに向かったのでそろそろ冒険者登録が済んでいる頃だと思う。
そのまま初依頼に向かう予定だと言っていたので、しばらくは帰ってこないだろう。
という訳で。
「最初の依頼、やはり同行するべきか?」
この会議の議題。
それは保護者同伴にするべきかどうか。
しばらく冒険者をやっていて分かったが、結構帰って来なくなる奴が多い。
だというのに、格上の者に付いていく様な真似をすれば馬鹿にされる風習がある様だ。
歳が近かったり、ランクがそこまで離れていなければ良くある事だというのに。
大体3以上離れているランクの者とパーティを組むと、周りから冷やかされるみたいだ。
生き残る為には悪い選択ではないというのに、馬鹿らしい。
ケツを拭いてもらってるとか、金魚の糞などと呼ばれている者達をたまに見る。
どれもこれも俺と関係のない他所のパーティではあったものの、子供達がそんな風に呼ばれたら可哀そうだ。
そしてキレる自信があったので、あえて俺はパーティ参加を辞退した訳だが。
今考えれば俺はランクを上げていないのだ、それこそミーヤと同ランク。
だったらついて行っても良かったのでは? なんて感想が出て来てしまう訳だが。
「それは止めた方が良いだろうね。どうしたってドレイクが守り過ぎるし、子供達も君が居れば安心し過ぎる。ミーヤという先輩一人に新人二人。それくらいの方が丁度良い緊張感はある気がするよ?」
ファリアは真剣な表情のまま、そう答えてくれた。
しかし、どこか不安そうにソワソワしている御様子。
「ま、普通はそれでも贅沢な状況じゃな。先輩が居るだけ、“楽”じゃろうて。何かあってもミーヤならサポートしてくれる、少しでも安心出来る材料はソコじゃ。普通なら新人だけのパーティなんてのも珍しくないと聞く」
ミサもぶっきらぼうに言い放つものの、落ち着かない様子でコツコツと爪でテーブルを叩いていた。
「そこで最初のミサの言葉に戻る訳だが、髙いんだろう? 死亡率」
「そうさな、新人だらけであれば分かりやすい。判断出来ない状況、準備不足、実力不足。テンション上がって踏み込み過ぎて、全員あの世行きなんて話もある。しかし先輩が一人居たとて、それはあまり変らん。複数人格上が居る状況なら別じゃが、問題は一人だった場合。ソイツがしっかりしていれば死亡率はガクッと下がるが、要は新人を庇いながら戦う訳じゃ。他者に教えながら命の駆け引きをするわけじゃろ? それは一人で多数を相手にするより負担になると聞く。そして普段の力を十分に発揮出来ぬまま、皆揃ってあの世行きじゃ」
俺は元々傭兵だし、冒険者になってからもソロだ。
ファリアは勇者パーティに入ったばかりの頃は協調性の欠片も無かったし、協力する様になった頃には、周りには強者しか居なかった。
だからこそ、新人だけで協力し合うという状況に陥った事がない。
いつだって自分の命は自分で守るという戦場にばかり立っていたからこそ、協力を覚えたのなんてここ数年の出来事。
確かな実力と優秀な指揮役の勇者、何を言わずとも補助や防御を受け持ってくれる聖女。
そんな二人が居たからこそ、ファリアをはじめ俺も“変わる”事が出来たのだ。
「だとすれば、やはり俺達が……」
「でもそれじゃあの子達が育たない。私達が手を出せば、確かに依頼は安全に終わる。でもいつまでも過保護に育てたい訳じゃない、だろ?」
ファリアの言葉を受け、再びウーンと唸り声を上げる。
二人には立派な冒険者になって欲しい、強くなって欲しい。
しかし、心配なのだ。
それは最近一緒に暮らしているミーヤだって同じことが言える。
より良く育って欲しい、これは俺達三人の共通意識だと言えよう。
だが俺達が守り過ぎれば、悪影響になるかもしれない。
本物の戦闘を知らぬまま、いつか生半可な気持ちで戦場に立ってしまうかもしれない。
その場合の死亡率は、間違いなく百パーセントと言って良いだろう。
調子に乗った奴から、技術の無い奴から死んでいくのが戦場なのだ。
例え歴戦の兵士だとしても、ふとした瞬間に運悪く命を落とす事だってある。
では、俺達は何をしてやれるのか。
答えは、待つ事である。
不安な気持ちを押し殺し、ただただ耐えながら待つ事しか出来ない。
あいつらの実力を信じて、大丈夫だと言い聞かせて待つ。
言葉だけなら簡単なソレだが、いざその身に降りかかってくれば口が裂けても“アイツ等なら大丈夫だ”なんて言えないだろう。
戦闘というのは、何があるか分からないのだ。
ましてや初めての“殺し”。
感じるものは多いだろうし、戸惑う事もあるだろう。
それがこの世界だ、なんて言ったところで何の意味も無い。
その世界を感じるのは個人であり、誰しもが同じ結果になるとは限らないのだ。
しかし冒険者や傭兵というのは強さと賢さが全て。
腕っぷしが強かったり、やけに強い魔法が強かったり、どんな状況でも冷静な判断が出来たり。
分かりやすい特徴を持っている連中程生き残る世界。
当然だ。そう言う人間の元に、周りが集まってくるのだから。
だからこそ称えられるのはいつだって、一つの能力が突起している様な人物ばかり。
それは俺達だって同じ事が言えるだろうが。
「駄目だ、ただ待っているという選択は出来そうにない……」
もしも上手くやれたとしても、対処できない程の敵と遭遇してしまったら?
しっかりと仕事をこなせたとしても、悪いヤツに騙されて依頼を達成出来なくなってしまったら?
色々と思い浮かぶが、やはり一番は。
「今この時でも、三人の内誰かが怪我しているかもしれない……」
そう考えると、非常に落ち着かない。
胸の奥底がソワソワして、貧乏揺すりが止まらなくなる程だ。
「ったく、英雄が二人も揃っているというのに情けないのぉ」
ミサが大きなため息を溢しながら、やれやれと首を振ってみれば。
キッと目尻を吊り上げたファリアが、席を倒す勢いで立ち上がった。
「狐娘! 君は心配にならないとでも言うのかい!? 確かにこの場に居る誰とも血が繋がっていない子供達かもしれないけども、私達にとってあの子達は確かに繋がりのある――」
「あぁもう、うるっさいのぉ。ファリア・シリンディアともあろう者が、キーキーと。そもそもこの程度世界の常識じゃ、今更騒ぐ事でもあるまいに」
「ミサっ! 君という奴は!」
「ファリア、止めろ!」
周囲に魔力を集め始めたファリアの肩を抑えてから、強い眼差しをミサへと向けた。
言っている事は分かるが、俺もファリアと同じ気持ちなのだ。
ミサだけが楽観的に考えているとは思わないが、些か言動が軽い。
思わず苛立ってしまうのも分かる程だ。
なんて、二人揃って彼女の事を睨んでいれば。
「英雄というのは、いちいち目立つからイカン。お前達が同行すれば奴らの成長を妨げる、周りからの評価も下げてしまうじゃろうな。かと言って待っている事も出来ない、だったら付いていくしかあるまい?」
「だから、それをしたら……」
「この脳筋め、誰が“同行”しろと言った。目立たず、相手に気取られず観察すれば良いのじゃ。本当の本当に助けが必要となった場合のみ、お前さん達が手を貸してやれば良い。ソレ以外は絶対に手を出さない。怪我をしようが、危なかろうが、絶対じゃ。中途半端に手を貸せば、それこそ相手からも周りからも信用を失うぞ?」
ハッ! とつまらなそうに言い放つミサの言葉に、思わず俺達の動きは停止してしまった。
なるほど、見つからなければ良いのか。
それなら確かに近くで見守れるし、問題が無ければ帰って来た後、何食わぬ顔でおかえりと言ってやれば良い。
ずっととはいかなくても、せめて初陣くらいは。
「ドレイクは鎧を変えろ、旅の途中使っていた物で良いじゃろうて。大剣もじゃ、今の姿ではチラッと見ただけでもお前とバレる。まぁ、その図体では隠すのは難しいかもしれんが……お前の事じゃ、コレクションは剣も鎧もあるのであろう? ファリアの方は服装を変えて仮面でも被っておれ。姿を見られないのが一番じゃが、もしも見られた時の保険じゃ」
彼女の言葉を聞いた瞬間、俺達はその場で装備を脱ぎ捨てるのであった。
「ちょ、こら馬鹿者共! 何もこの場で着替えろとは言っとらんわ! 特にファリア! 貴様はドレス以外には下着しか着ておらんじゃろうが! 隠せ隠せ!」
わちゃわちゃと忙しい言葉が飛び交う中、俺達は装備を変えた。
俺は白銀の輝きを放つフルプレートと、真っ赤なマント。
そしてやけにギザギザした武骨な黒い大剣を背負う。
ファリアの方は分厚いコートに全身を包み隠し、魔女帽子の代わりに目元まで隠すようなフード。
その中にはのっぺりとした仮面という、非常に不審者スタイルに変わった。
「ミサ、君も行くんだろう? 早く着替えて」
「いや、待て。ツッコミが追い付かん……まさかお前達二人の華やかさが逆転するとは思わんかった。こんな事ってあるか? というかドレイク、もう少し目立たない装備は……」
額に手を当てているミサに対して、待ちきれなかったらしいファリアが彼女を脱がしにかかる。
はやる気持ちは分かるが、出来れば俺の見ていない所でやってほしかった。
「ギャァァ! 何をしておるこの乳娘! 強姦罪で突き出すぞ貴様!」
「煩い狐娘、さっさと着替えると良いよ」
「私はお前さん達と違って特徴が薄いわ! 耳と尻尾を隠せばローブを着るだけでも充分じゃろうが! 脱がすな、脱がすでないボケェ!」
「おや、意外にも可愛らしい下着。もとい刺激的な下着だ」
「ぶっ殺してやろうかこの乳娘ぇ!」
スッと顔を逸らしている間に、暴言の嵐が過ぎ去っていく。
そうか、ミサは結構刺激的な下着を付けているのか。
などと思った瞬間、兜にブーツが飛んで来たのは偶然だと思いたい。
そして、しばらく経った後。
「な、何じゃこの服は……」
やけにぴっちりとした服に身を包んだミサが、真っ赤な顔でファリアを睨んでいた。
スカート、あれはスカートと言って良いのだろうか?
前と後ろだけ長い布が垂れさがり、ふとももには随分と大きく深いスリットが入っている。
際どい所まで素肌を晒している訳だが、あれなら普通のドレスなんかより動きやすそうだ。
走ったり、蹴ったりするのにも向いているだろう。
耳は不思議な形をした帽子で隠れており、何故かお札が額から垂れ下がっている。
キョンシー、という奴だろうか?
見た事は無いが、ゾンビと似たようなモノだと聞く。
「設定は私が術者。二人が私の使役するキョンシーとデュラハンという事で問題ないね?」
「待て、俺の首は繋がっている。デュラハンと言っても通らないだろう。取るか?」
「落ち着くんだドレイク、君が首を脱着したら間違いなく動かなくなる。つまり死ぬ、という訳でコレだ」
そういってから、彼女はある物を手渡して来た。
それは、とある酒に漬けた光り椎茸の入った瓶。
「おい、まさか」
「取れないのなら繋げたまま化け物になれば良い、“首有りデュラハン”の復活だ」
そんな訳で、俺達は子供達の任務に密かに付いていく事が決定した。
俺とミサは魔物、ソレを使役するのがファリア。
変な役回りにはなってしまったが、一応は問題解決と言えるだろう。
多分。
何てことを思いながら、様変わりした格好のまま俺達は門の外へと足を踏みだすのであった。
――――
「良いよな、飛び出して良いよな?」
「まてドレイク、まだ許容範囲じゃ」
「あのゴブリン、一度死んだくらいじゃ許さないから。二度三度と蘇らせて、自らの愚かさを教えてやる」
「ファリア、そんな事をしてもゴブリンは反省などせんぞ?」
ドレイクとファリアをどうにか押さえながら、森の中の隠密行動は進んでいた。
こっちはやけに恥ずかしい恰好をしていて、四つん這いにでもなれば色々見えてしまいそうだというのに。
二人は一切気にした様子も無く、子供達から眼を放さない御様子。
今の所大丈夫ではあるが、誰かが危機に陥った時には飛び出しかねない。
それはドレイクだけではなくファリアも同じようで、どうにか私が手綱を握るしかない状況だった。
間違いなくこの二人だけなら、今の時点で飛び出しているだろう。
だがそれでは意味がない。
怪我をしようが少し病気になろうが、ちゃんと帰って来て金が稼げれば儲けものというのが冒険者。
この二人は実力と金銭的な余裕が有るからこそ、そういう意識に欠如した感覚がある様に思える。
普通ならその日の飯代を、宿屋の代金を払う為に必死になって稼ぐものだ。
だからこそ、“これくらいは”常識の範囲内。
下手したら街中でも、人間相手に味わう事もあるかもしれない程“普通”の危険。
そんなことを思いながら、彼等の動きを見ていれば。
「ふむ、慣れて来たかのぉ?」
実戦二日目にして、リックもフレンも随分と良い動きをする様になった。
昨日は二人共、情けないとしか言い様がない程へっぴり腰だったというのに。
今日は、それこそ普通の基準で“マシ”な動きをしている様に見える。
英雄様から見れば、ハラハラしてばかりなのだろうが。
私としては“それなりにやれている冒険者”といった評価。
良い調子じゃ。
このままこちらが手を貸す事無く終わってくれれば良いが。
なんて思っていた所で、撤退戦となってしまった。
飛び出そうとする二人を必死に宥めながら、子供達の後をつける。
しかし、良くない場所で野営を初めてしまった。
やはりランク3の冒険者、ミーヤもまだ経験が足りない様だった。
距離が離れたからとはいえ、振り切れていない相手をいないモノとして野営を初めてしまう。
あぁ、コレは良くない。
腕が立つ商人なら、一晩足を止めることなく逃げ続けるだろう。
警戒心の強い冒険者なら、せめて一人は完全警戒態勢のメンツを立たせる筈。
そんな悪い予想が的中してしまい、楽し気に話す子供達はたちまち包囲されてしまう。
間違いなく“必死”。
必ず死ぬという意味で、多勢に無勢の状況が整えられてしまった。
子供達三人は未だ気付くことなく、呑気に野営の準備をしている中。
周りではゴブリン達が数十という数を揃え、彼等を狙っている。
コレは、終った。
普通であれば。
「ドレイク、ファリア。そろそろ出番じゃ、アレは防ぎきれまい。準備せよ」
そう声を掛ければ二人はある物を口に含み、咀嚼してから飲み込んだ。
今更“ソレ”が必要なのかと思えてしまうが、こだわりがあると言うのなら何も言うまい。
そんな事やっている内にミーヤは二人を逃がす為に囮となり、それに気づいた二人が戦場に戻って来てしまう始末。
はっきり言って最悪だった。
リックとフレンがそのまま逃げれば、二人は生き残れたかもしれない。
でも、ミーヤを見捨てられなかった。
それは冒険者としては致命的な欠点。
今では三人とも危機的状況に陥っている。
ミーヤはふともも矢を受け、魔力も少ない。
しかも矢がかなり深く刺さっている様に見える、ただのポーションでは治しきれないか傷が残るだろう。
リックはそんな彼女を守りながら、片腕を狼に齧られている。
フレンに至ってはゴブリン達に組み伏せられ、普通ならすぐにでも犯されそうな態勢になっていた。
ドレイクが渡した防具が邪魔して、中々“行為”には至れそうになかったが。
まぁ、つまり。
三人ともギリギリの状態。
このままなら、死を待つばかり。
だがしかし、ココには英雄が居るのだ。
しかも、二人も。
「殺す、絶対に殺す」
「早く行こうドレイク、皆が待っている」
口内から緑色の光を放つ二人が、随分と荒い息を放ちながら立ち上がった。
片方は全身鎧に大剣、兜の隙間から緑色の光を洩らしている。
その姿は確かにデュラハンと言われれば納得してしまう程不気味であり、不穏。
もう片方はフードを被ったロングコートに身を包み、のっぺりとした仮面を被っている為、仮面の周囲が緑色に光っている。
これはもう、どう見ても不審者だろう。
なんだコイツ等。
「もう知らん、行って来いお前等」
呆れた声を洩らした瞬間、
英雄と呼ばれる存在を舐めていた訳ではない。
ファリアとは幾度と無く口喧嘩はしたが、いざ戦闘になれば手も足も出ぬまま敗北するだろう。
そんな風に思っていた。
しかし、それすら甘えだったのだと実感した。
「どぉぉらぁぁぁ!」
不気味な黒い“霧”を纏う大剣を振り回す剣士は、暴風となった。
そこら中にいた魔物を薙ぎ払いながらも、彼の進行は止まらない。
彼が進む道には何も残らず、森の木々ですら薙ぎ倒された。
言葉にするのは簡単だが、言葉通りの現実をその目で見せられればポカンと口を開ける他ない。
「余り調子に乗るモノでは無いよ、雑魚共」
魔女の方は紫色の光を残しながら杖に乗って飛行し、周囲から全ての魔素を奪い取るかの様な勢い。
突き出した掌の前で、とんでもない量の魔力の塊を作り上げていた。
あぁ、なるほど。
“格”が違う。
コレが英雄か。
「ドレイク、撃つよ」
「あい分かった」
短い言葉と共に、バッと横に避ける大剣士。
そのギリギリを攻めるかのように、魔術師が放った一撃は随分と遠くに見える山すらも抉る。
光線とも呼べる何かを放ち、数多くの敵を蒸発させた。
これが、勇者パーティの半分。
全員揃ったら、どれ程の戦力になるというのか。
想像するだけで恐ろしい。
目の前に広がるこの光景ですら恐ろしいというのに。
「は、ははは……お前等マジでバケモンじゃな」
思わず腰を抜かして目の前の光景を見つめていれば、戻って来たドレイクの肩に乗っけられてしまった。
すまん、正直助かる。
驚き過ぎて腰が立たん。
「ファリアの本気はこんなもんじゃないぞ? 前衛が邪魔になると豪語する魔法使い、“一手目の切り札”ってのは伊達じゃない」
その一言に、ゾッと背筋に寒いモノが走った。
コレ以上? というか初手から前衛が邪魔になる程の強力な魔法を放ち、切り札とも呼ばれる魔術師ってなんじゃ。
そんなもん個人でありながら兵器、厄災の類であろうに。
「彼女がそう呼ばれたのは、巻き込まれるであろう間抜けが居なくなった後の事だ。安心しろ、仲間が前に居る場合、ファリアは絶対にああいった魔法を使わない」
色々安心出来るのかもしれないが、色々と安心出来ない御言葉を頂いてしまった。
それはつまり、実力が伴わない相手と組んだ場合彼女は本領を発揮しない。
しかし本領を発揮すれば、山が抉れる程の魔法を連発するという事なのだろう。
そんでもって、前衛が居ても魔術を放てる程の信頼関係を築いているのがコイツ。
なんじゃこの危険物共は!
鉄塊を振り回している時のお前が随分と可愛く思えて来るわ。
「突っ込むぞ! このまま殲滅する!」
「子供達の防御は任せたまえ! バフは掛けた! 細かい残党はよろしく頼むよドレイク!」
私はドレイクの肩に担がれたまま、戦場へと突っ込んでいくのであった。
あぁ、留守番していれば良かった。
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