隠れオタクは肩身が狭い
「ところで君、
赤面している場合じゃなかった。
このあり得ない現実を受け入れようと、彼はかなり冷静になっている。
つまり周りの状況を把握しようとして、ものすごくキョロキョロしている!
この部屋には見られたくないものがありすぎるのに、どうしよう。
ポスター、うちわ、タペストリー。パンフ、アクスタにペンラ。カレンダーにブルーレイ、写真集。
そうつまりは祭壇。
誰にも見せたことのない宝物を、まさか最初にご本人様に見られてしまうなんて。
しかも私は彼のファンなのにそれを周りに公言できない隠れオタク。そのことを知ったら、エイル君は悲しむんじゃないかな。
「この部屋が物語ってる気がするんだけど」
「そ、そうでしょうか……」
確かにここは外で愛を叫べないからこその濃すぎるオタク部屋だと思う。
答えを待っているエイル君の顔も心なしか固い気がする。
なんて答えれば正解なんだろう。
「ここは……エイル君ファンの姉の部屋なんです。今、海外留学中でして」
ごくりと息を飲んだ。
口からすらすらと出てきたのはなんとでまかせ。意気地無しにも程がある。
だけど、好きなものを公言できないくせに、本人の前でだけいい顔をするなんてできるわけないよ。
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