悲報
「ただいまぁ……」
半泣きになりながら、どうにか帰宅した。こんなに急いだのに途中で転んでタイムロスした自分が許せない。
「お嬢様、おかえりなさいませ」
お手伝いの美琴さんが笑顔で出迎えてくれたけど、私の姿をみて血相を変えた。
「どうされたんですか?膝にお怪我を」
「大丈夫、ちょっとぶつけただけなの。お母さんは?」
いつも帰宅したらリビングからすぐに出てくるはずなのに、違和感を感じるほどの間を置いてお母さんは顔を見せた。
「おかえりなさい。あらあら、手当てしなくちゃ」
「たいしたことないよ。それより……」
お母さんが、後ろ手に持っているリモコンをそっと美琴さんに手渡したのが見えた。
「テレビ、ついてないの?」
お母さんはエイル君情報には詳しいはず。今日の出演予定だって知っているはずだし、いつも一緒に見てくれるのに。
「それよりも先にお風呂をすませたら?新しいバスソルト試してみない?あっ、しみちゃうかしら」
お母さんの笑顔が少しこわばっている。
「そんなの後でいいよ」
アレクサお願い、っていいかけたときだった。
「つけちゃダメ!」
「……なんで?」
リビングのテレビがいちばん大きいのに。
お客さんでも来るのかな。
「じゃあオーディオルーム使っていい?」
「えっと、あそこは今お掃除中で」
「こんな時間に?」
落ち着かなくて、何気なく携帯を取り出した。
「携帯もダメ!余計な情報がいっぱい出てくるから!」
「お母さん、何かあったの?」
なんで泣きそうな顔してるんだろう。
「とにかくテレビは……」
聞く耳なんか持ってない。
直接ボタンを押しにいった。
でも、なぜか番組表には載ってなかった番組が始まっていて、画面のしたに「放送を一部変更してお送りしています」のテロップがあった。
「なんでだろ。おかしいなぁ」
間違えたかなと思って次々チャンネルを変えていく。
すると。
「速報です。俳優の
あり得ないニュースが流れていた。
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