不良グループのあいつ
ずっと前、高校3年生の頃だ。
図書館にある6人掛けの木製のテーブルに、ぼくは一人で座って本を読んでいた。
扉が乱暴に開けられて5人組の不良が来た。
大声で雑談しながら練り歩く5人。彼らはぼくに目を付けた。
「なに読んでんだよ」
リーダー格の男は浅黒い体に金髪で頭に何本も剃り込みを入れていた。
不良たちは笑っていた。ぼくは彼らを無視していた。今思うと残酷だけど、話が通じる気がしなかった。
飽きた彼らは1人を除いてどこかへ行った。
残った1人は5人の中で一番声が小さくて、唯一ぼくと司書さんの顔色を窺っていた奴だった。
彼はバッグからノートの切れ端とペンを取り出して何かを書くとぼくに渡した。
「ゴメンね。〒○○○-×××」
LINEじゃない辺り彼は不良に向いていない。
「おせーぞ」
リーダーの一声で彼はグループの方へ駆けて行った。
文通はその日からすぐ始まった。
「あの時はゴメンね」
この話が出ると親友はいつもそう言う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます