不良グループのあいつ

 ずっと前、高校3年生の頃だ。

 図書館にある6人掛けの木製のテーブルに、ぼくは一人で座って本を読んでいた。

 扉が乱暴に開けられて5人組の不良が来た。

 大声で雑談しながら練り歩く5人。彼らはぼくに目を付けた。

「なに読んでんだよ」

 リーダー格の男は浅黒い体に金髪で頭に何本も剃り込みを入れていた。

不良たちは笑っていた。ぼくは彼らを無視していた。今思うと残酷だけど、話が通じる気がしなかった。

飽きた彼らは1人を除いてどこかへ行った。

 残った1人は5人の中で一番声が小さくて、唯一ぼくと司書さんの顔色を窺っていた奴だった。

 彼はバッグからノートの切れ端とペンを取り出して何かを書くとぼくに渡した。

「ゴメンね。〒○○○-×××」

 LINEじゃない辺り彼は不良に向いていない。

「おせーぞ」

 リーダーの一声で彼はグループの方へ駆けて行った。

 文通はその日からすぐ始まった。

「あの時はゴメンね」

 この話が出ると親友はいつもそう言う。

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