巡リ会エタ強敵
ギルドの稽古場…ではなく、グローシアの外にある屋外稽古場に連れてこられたハヤトはオルナシアを見る。
形式は簡単。自身の愛武器や魔法が使用可能な一本試合である。
(…やっぱり、妙だな)
『えぇ、レイピアによるスピード特化の一撃なのは確かなのでしょうが…何か異様な感じがしますね…』
『すまぬが、我はあの冒険者のことは知らないな…我が死んだ後に出てきた冒険者なのは確かだ』
(成る程)
ハヤトはそう話しながら叢雨を構え、オルナシアはレイピアを構える。
「吹け、風よ」
すると、レイピアが風を纏う。
「風…」
ハヤトがそう呟いた瞬間、一瞬で近づいたオルナシアが頭部に突きを放つ。ハヤトはそれをなんとか回避すると、叢雨で斬ろうとする。が、それはバックステップで回避される。
(早い!?)
それだけではない、オルナシアが放った突きは2mくらい離れた木を綺麗に抉っていた。
ハヤトはそれを見て
「喰らったら風穴確定だな」
そう呟くと、オルナシアに接近する。オルナシアは突きの連続でハヤトを迎え撃ち、
「覇天流 獅子奮迅・連!」
ハヤトは獅子奮迅を連続で行い、突きに対抗する。お互いの連撃を連撃で防いでいくと、獅子奮迅がオルナシアの頬をかすり、オルナシアは少し下がるとレイピアを横に薙ぐ。
「【サイクロン・スラッシュ】」
すると、レイピアから放たれた風は竜巻となり、ハヤトに襲いかかる…が、
「神凪飛ばし!」
ハヤトは竜巻を真っ二つに切り裂く。
「竜巻を切っただと!?」
「はわわ…」
「いやいや…化け物かな、彼は」
オルナシアの仲間たちはそれを見て驚いたが、2人はそんなことを気にせずに戦いあう。
やがて、ハヤトがオルナシアを蹴り飛ばす。その瞬間、ハヤトはオルナシアの顔を見ると、
姫騎士のような風貌から一転して、狂気を見せていた。
ー
楽しい!楽しい!
アァ!楽シイ!楽シイナ!
やっぱり、彼なら大丈夫!私を楽しませてくれる!私の全力をぶつけられる!『アタシ』を受け止めてくれる!
アァ!全力ヲ出セル!ダカラヨォ!
うん、わかってる!
交代ダね!!!
ー
先程まで鋭い一撃を放っていたオルナシアが、動きを止めた。そして、腕を垂れさせ下を向いた。
「な、なんだ…?」
冒険者たちはそれを見て困惑する…が、
「あれって…」
「あちゃー…出ちゃったか…」
「あぁ、出たな」
ハヤトもそれを見て、嫌な気配を感じ取り叢雨を構える。
すると
「…アハハ…アハハハハ!!!キャハハハハ!!!!アハハハハハハハハハハ!!!!!」
笑った。狂気に満ちた笑いが辺りに響く。
すると、オルナシアはレイピアをぶん投げる。そして、横に現れた闇から黒い大剣を引き抜いた。
「なぁアンタ!強いんだよな!アイツが認めたんだ!強いよな!ならよぉ…アタシを楽しませろォォォォォォォォ!!!」
オルナシアは狂気が満ちた笑いを浮かべながら黒い大剣を振るった。
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