【狂気】のオルナシア

ギルドには見たことのない人混みがあり、ハヤトはなんとか中に入ると、S級パーティーの【紅の十字架】の面々がいた。


姫騎士のような風貌を持つレイピアの女冒険者、パーティーの頭脳なのかメガネをつけた男エルフの杖持ち冒険者、タンクというのが分かる重装備の男冒険者、周りの人だかりを見てビクビクしている小柄な杖持ち女冒険者がいた。


その面々の前には、腕に自信がある冒険者たちがいる。


(あれがか…)


「オルナシアと戦いたい冒険者はいますか!」


(そしてなんだその部活勧誘みたいなのは!?)


ハヤトはそう思いながらも、受付嬢のアリシアと話し合う。


「アリシアさん、今どんな依頼がありますか?」


「はい、薬草の採取とゴブリン5体の討伐ですね…というか、依頼掲示板を見たほうが…って、あぁ…」


「ちょっと、場所を考えて欲しいかな…というか、あれってギルドは認めてるのか?」


「まぁ、S級になるとそれなりの権利を持ちますから…悪用しすぎるとS級剥奪ですが」


「…グレーってことなのか…」


ハヤトはアリシアと話し合うと、依頼掲示板の前に向かい、ゴブリン5体の討伐の依頼の紙を掴もうとした瞬間、レイピアの女冒険者がハヤトの手を掴んだ。


「ちょっ」


「…私と戦って」


「…えぇ…」


開口一番の発言を聞いたハヤトは面倒そうな顔をする。


(分かってはいたけど、やっぱりこうなった…)


と言うのも、この女冒険者はギルドに入ってきたハヤトをずっと見続けていたのだ。なんとなくそんな予感はしつつも、我関せずを貫こうとしたが…ダメであった。


(こう言うタイプはあれだ、頑固系だな…)「…まぁ、いいですけどって何処に連れてくねーん!?」


その返答を聞いた女冒険者はハヤトを引き摺りながら、ある場所へ向かった。


彼女の仲間も腕に自信のある冒険者たちもそのあとを追いかけていった。


ハヤトを引きずっていった彼女はS級の冒険者で、その見た目に似つかない二つ名を持つ。それは、【狂気】のオルナシアである。

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