近づく災厄

「…まさか」


ある者は、【古代の祭壇】に棲まうある存在がいないことに気づいた。


「…この辺りで近いのは、グローシア…あの馬鹿が、我が王の誓約を踏み躙る気か…!」


ツノを持つ白い髪の青年はそう言うと、翼を広げ飛び立つ。


「止めなければ…戦争と無関係な者達が死ぬことになる!それだけは、止めなければ!」


青年はそう言うと、全速力でグローシアに向かった。



「ッ!」


気配を感じ取った。使役する前のグレイトと同じような、何かやばいものが近づいている気配を。

【気配探知】の範囲に入っていないが、それでもやばい気配をひしひしと感じ取っている。


「グレイト、アッシュ、ティラノ。いつでも出れるように構えとけ」


『ふむ、了解した』


『何かが近づいてきているのですね』


ティラノが任せとけ!と言ったのを感じ取ると、街の中央から南に位置した場所に向かって走る。


南には【開放型ダンジョン】の魔境林がある。この魔境林はSランクの危険度を誇る森である。


そして、魔境林の入り口まで来ると【気配探知】の範囲に巨大な何かが入った。


「この形は…」


すると、上空が暗くなり上を見る。そこには、


「ドラゴン…!」


『ただのドラゴンではない…エンシェントドラゴンか!』


アッシュがそう言うと、ドラゴンが叫んだ。


「ホロビロ…ニンゲンガァァァァァァァァ!!!」


『ブレスが来ます!』


『主よ、出るぞ!』


「アッシュ!街も守れるか!」


『騎士として、守ってみせる!』


すると、目の前にアッシュが現れ盾を構える。


「我が盾よ、来たる厄災の一撃から全てを護れ!【イモータル・シールド】!」


すると、街の壁に沿って巨大な魔法の盾が現れると同時に、エンシェントドラゴンが業火を吐いた。その一撃は、強固な魔法の盾を溶かしたが、街は最小限の被害で抑えられた。


「グッ、防ぎきれなかったか…!」


「上出来だ、アッシュ」


「オノレ…ニンゲンガァァァァァァァァ!」


『あれは話を聞きませんね…』


すると、エンシェントドラゴンはアッシュに突撃する。アッシュはエンシェントドラゴンの頭を掴み、そのまま街の中へ押されていった。


「アッシュ!」


「心配するな主!」


アッシュがそう言った瞬間、ある声が聞こえてきた。


「遅かったか…!」


そこには、白い髪にツノを持つ謎の青年がいた。

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