騎士の願いを聞き入れて

「我はドライシア王国の騎士であり、将軍にまで上り詰めたヒューマンだった。私には愛する者がいた…名はアリシア、エルフの女性だ」


「エルフ…」


この世界にもいるんだな…


「だがある日、戦から帰ってくるとアリシアの家が荒らされており、隣人に話を聞けば…王直属の部隊に連れて行かれたのだ…私は怒りを見せ、王に…奴に聞いた。すると、どうだ…奴は美しいと言う理由でアリシアが連れ去られ慰め者にされたのだ!」


「馬鹿な、いくら王でもあり得ません!」


「奴は高らかにそう言ったわ…我は怒り狂い奴を殺そうとしたが数の暴力に負け、殺されて遺棄され…」


「…あなたはアリシアという女性を助けたいという叶えられなかった無念からデュラハンになったと…」


「…うむ」


「…アリシア…どっかで聞いたことあるような…」


確か、兵士達の話を盗み聞きしたんだが…確かそこで…


「あっ!確か兵士達がアリシアって言うエルフをグローシア辺境区に捨ててきたって言ってたぞ!」


「グローシア辺境区ですと!…捨ててきたとなると、やはり…」


デュラハンはそう言って頭?を抑える。


「もしかすると、助けられているかもしれません。今は、その可能性に賭けましょう」


「…うむ、そうだな」


「あの、ちょっと聞きたいんだが…お前はいつデュラハンに?」


「…10年前だな」


「そっか…」


俺はそう言ってデュラハンの画面を見る。


名前:アッシュ・スクリプト

種族:ヴェンデッタ・デュラハン

状態:???

能力:【忠誠の騎士】【復讐騎士】【戦乱無双】


「状態がわからない?」


「アンデットであるが故でしょうね」


「…死んでる奴に健康もないか」


ヴェンデッタ・デュラハン

生前、凄まじく強い騎士が無念を抱えたまま死ぬと低確率で現れるデュラハン。このデュラハンを倒した者は誰一人としていない。


【忠誠の騎士】

忠誠を誓った相手を守るときに発動。あらゆる厄災から守る最強の盾


【復讐騎士】

ヴェンデッタ・デュラハンが持つスキル。身体能力が常時数十倍に上がる。


【戦乱無双】

指揮系スキルの最上位。このスキルを持つものがいれば、必ず勝つとされている。


「あー、普通に強い」


「…我のスキルか」


「成る程、ならばあなたは前線に立つ盾持ちとしては最強クラスですね」


「褒めるな、グレイトとやら…だが、彼奴に使役されたならば仕方ない」


すると、デュラハンは俺に向かって跪いた。


「我が名はアッシュ・スクリプト!今から我は汝を主と認め、いかなる厄災から守る最強の盾となろう!」


「…あはは、よろしくな。アッシュ」


堅苦しい…まぁ、モンスターマスターとして…というか、願いを聞いた身としてはアッシュの願いを叶えないとな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る