騎士と乙女のラブストーリー

進化と騎士

「グレイト、モンスターって進化するのか?」


「はい、私はミノタウロスの最上位種なのですが、生まれた時からラカスではありません。皆、その種族の1番下から始まり、研鑽や戦いを通して進化していきます。人間や魔族、一部のアンデットは例外ですが…」


「成る程…ん?」


あの国 ドライシア王国からかなり離れ、まだまだその道を歩いている俺たちはある気配を探知する。


「何か来る」


「はい…敵の可能性がありますね」


そう言って俺たちは武器を構えると、前から巨大な盾と斧槍を持った黒い騎士が現れた。


「ォォォォオッ!」


「マスター、どうやら敵みたいです」


「分かってる、グレイトは周りを警戒してくれ。俺はあの騎士をなんとかする」


俺はそう言って叢雨を引き抜き、斧槍と鍔迫り合いを起こす。すると、騎士は盾で俺を殴り吹き飛ばしてきた。


「強い!」


吹き飛ばされつつも、俺は着地してすぐに神凪を放つ。それは騎士の首を切り落とした…が、騎士の体は動き俺を斧槍で押し潰そうとしてきた。


「首を切り落とした…てことは…」


嫌な予感がしつつ、俺は首の方を見ると身体が首を元に戻した。


「成る程、リビングアーマーではなくデュラハンですか」


「デュラハンとリビングアーマーの違いって何!?」


「リビングアーマーは中身を持たない鎧ですが、首を切られると何故か死にます。ですが、デュラハンは元々首が切られているのでそうはならないのです。デュラハンはあの鎧を砕けば倒せるはずです!」


「情報ありがとう!」


それを聞いた俺はデュラハンの鎧を斬ろうとする。だが、傷一つ付かずにデュラハンが盾で殴り飛ばしてきた。


「そう何度も!」


俺は踵落としでデュラハンの盾を地面に突き刺すと、それを足場に距離を取る。


(硬い…だけど、【怪力無双】なら…いやでも、この刀が耐え切れるか?)


そう考えていると、ふとあることを思い出した。


『隼人、硬いものを斬ろうとすれば刃は折れる。だが、ある裏技があるんだ…それは』


(やるか…アレ!)


俺は集中して突きを放つ。斬るんじゃない、貫く。【怪力無双】の力を一点に!


「覇天流、獅子奮迅!」


その突きはデュラハンの身体を破壊するだけに留まらず、その背後にあった木々を薙ぎ倒した。


「…ォォ…ア…リシア…」


デュラハンはそう言うと崩れ落ちた。だが、すぐに光を放つ。


「まさかこれって…」


「どうやら、使役したみたいですね」


すると、砕いた鎧が元に戻りデュラハンが起き上がった。


「…ぬぅ…モンスターマスターか。聞いたことはあったが、まさかここまでとは…」


「あの、大丈夫ですか?」


「大丈夫だ、我は騎士であった身だからな…」


「騎士だった…あなたは何か無念があったのですね」


「あぁ、我が主よ。少し、頼みがある」


「頼み?」


「あぁ、我が願いを叶えてくれないか。その願いは、我一人ではなし得ないのだ」


デュラハンはそう言うと、俺たちに向かって土下座をした。

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