モンスターマスターという職業

「なんとかなった…でも、この刀から溢れた力は…」


俺はそう言って持っている刀を見た瞬間、ミノタウロスの死体が光り、生き返る。


「嘘だろ!」


すぐに構えを取り、もう一度神凪を放とうとしたが…


「…そうか、あなたがモンスターマスターか」


「喋った!?」


ミノタウロスが喋った。すると、目の前に画面が現れる。そこには、


名前 無し

種族名:ミノタウロス・ラカス

状態:健康

能力:【怪力無双】【気配探知】


と書かれていた。


「えっ、なにこれは…」


「それは私の情報です」


「えっと、ちょっと話がこんがらがって…」


「あぁ、すいません。ならゆっくり話していきます」


ミノタウロスはそう言って落ち着かせてくれた。


「…まず、これはお前の情報って言ったよね?」


「はい、詳細はその箇所を触れば出ます」


「スマホかな?」


俺はそう言いながらも触る。


ミノタウロス・ラカス

説明:ミノタウロスの頂点に立つ者。その一撃は大地を揺らすとされている伝説のモンスター。


【怪力無双】

剛力などのパワースキルの最上位。岩石どころか、巨大な山すら持ち上げる。


【気配探知】

呼んで字の如く。範囲は10kmくらい。



「…強すぎるわ」


「まぁ、はい」


「じゃあ、次はその…」


「モンスターマスターという職業についてですね」


「はい…」


「そうですね…モンスターマスターとは簡単に言えばモンスターを使役できる職業です」


「…うん」


「ただ、条件があります。それは、自身が倒したモンスターであることとある一定のモンスターは使役できないことです。後者は私にもわかりませんが、人によると思ってくれていいでしょう」


「…」


「そして、モンスターマスターは使役したモンスターの力を使えるという特徴があります。つまり、私の【怪力無双】や【気配探知】をあなたが…いえ、マスターが使えるわけです」


「…つまり、強い奴を使役できれば自分も強くなれると?」


「はい、まぁ技術は自分自身で上げるしかありませんが」


「…ん?ならさっき力が溢れたのは…」


「はい、その刀はモンスターです」


すると、またあの画面が現れる。


名前:魔刀 叢雨

種族:ソウルイーター・シン

状態:切れ味最大

能力:【魂喰】【断罪】


「なんかカッコいいな…」


ソウルイーター・シン

魔剣の中でも珍しい種族。カタナタイプはこのモンスターだけ。この刀は作られたあと、モンスター化したので名前が付いている。


【魂喰】

斬ったものの魂を食らう。使用者の許可が必要だが、喰った魂は転生できない。


【断罪】

名前の通り、罪を犯した者を断罪する。この能力で斬られれば、生きていようがいまいが凄まじい苦痛が襲う


「…超怖いんだけど!?」


「ふむ、ですがマスターを主人と認めているようですね…」


「あぁ…」


「少しだけでいいのですが、私からも質問を。マスターは異世界人ですね」


「あぁ」


「なら何故このような場所に一人で…」


「というか、なんでそんな話せるのにさっきは襲いかかってきたんだよ」


「…恥ずかしながら、あの時の私は暴走していまして。もはやその分別すらできていませんでした」


「成る程…確かに俺は異世界人だけど、この職業のせいで呼ばれたのに俺だけ最低な扱いを受けてな。しかも、俺をいじめてた奴が俺を突き落として…」


「なんと酷い。呼んだのにもてなさないとは…私が潰しましょう」


「国だからやめてくれ…とりあえず、今はここから出たい。だから、力を貸してくれ」


「分かりました。私の力はマスターのために振るいましょう」


「…ありがとう…そういえば、名前が」


「マスターがつけてください」


「…そうだな、安直だけど…グレイトでどうだ?」


「有難き名前です」


俺はふと画面を見ると、名前の無しがグレイトに変わっていた。


「…よし、なら目指すは地上だ!」


「えぇ、ですがもう一つ教えておかねばならないことが…」


「まだあるのかよ!?」


…地上に帰るのはもうちょっと先かな…

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