最弱扱いのモンスターマスター
白菜揚げたら捕まったマン
テンプレから始まる物語
奇妙な刀とミノタウロス
やられた。
それだけは分かった。
俺は雷同 隼人。名前の通り、日本人だ…で、今の俺は異世界のダンジョンにいる。
よくある異世界転移で、クラスごと異世界転移したのだが、その世界では生まれながらにある職業…というか、ジョブがあるらしく全員調べたのだが…俺はモンスターマスターと言う意味不明な職業だった。
それにより、俺だけ扱いが最悪になった…呼んだのはあの国の方なんだが…
そして、俺はある日いじめっ子達にダンジョンの最下層に通じる穴に突き落とされた。その時のあの歪み切った顔は脳裏に焼き付いている。
そんなことがあり現在、黒いミノタウロスに追いかけられていた。
筋骨隆々の身体に巨大な殺気を放っているミノタウロスはダンジョンの壁を破壊しながら近づいている。俺はダンジョンの複雑さを活かして逃げているが、いずれ追いつかれるのは火を見るより明らかだ。
なら、戦えばいい?あんな一撃死確定な腕力にどう勝てと?レベル1がレベル90くらいのモンスターに勝てるかって例えが簡単だろう。
そうこうしている中、俺はある小道を見つけた。人が入れるくらいの道を走り抜ける。後ろからあのミノタウロスの雄叫びが聞こえるが、そんなこと気にせずに先へ進むと…
「…刀…?」
台座の上に刀が置かれていた。黒い鞘に白い柄の刀が一本置かれていた。
「この世界にも…刀ってあるのか…」
俺がそう呟くと、ミノタウロスの雄叫びが近くなってくる。
「考えてる暇はないよな!?」
俺はそう言って刀を持った。その瞬間、力が溢れてきた。
それに驚きつつも、俺の身体は動いた。
唐突だが、俺に剣術を教えてくれた人がいた。日本人みたいな名前だったが、何処か違う雰囲気を放っていた60歳くらいの師匠。初めて会って、俺に師匠が持っていた剣術を全て叩き込むとそのまま消え去った。最初は悲しかったけど、今になると師匠は自分の技を誰かに教えれて嬉しかったのかもしれない。
まぁ、今となってはわからないけど…というか、剣術自体あの世界では護身以外では使い道がなかった。
だけど、今は違う。この世界は弱肉強食を具現化したような世界だ…大抵の異世界ってそんな感じだろうけど。
俺は深く腰を落とし、呼吸を整え集中する。すると、辺りの動きがスローになる。師匠の特訓では当たり前の光景だった。
「神凪」
その状態から放たれる一閃。それが神凪…確か、覇天流って言う厨二病染みた流派の技だ。
それを喰らったミノタウロスは首を切られ、その場に崩れ落ちた。
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