第3話 転生者の資格
キーンコンカーンコーン♩
ズガガガガァァァーーン!
現在、朝8時。
これは始業の鐘だ。
破壊音は、こちらまで鳴り響いているある事をしているための騒音。
で、始業の鐘が鳴ったからと言って、すぐに授業が始まる…わけではない。
生徒は今、朝の5時から9人…いや、違うな…存在感が薄いため、そこにいるのを忘れそうになる1人が残っているから10人だ。
最初から居ない9人は、ここから1kmほど離れたドーム型
騒音は、その特別指導をしている音だ。
物騒な?
いや、知らんな。
ここはスルーして、話を進めさせてもらう事にする。
某有名ドームを参考にして作ってある。
ここ、亜空間に存在するすべての物は、地球、主に日本を参考にして作ってあるのだ。
俺とアイが、地球にいた時間が長かったため、影響されたというのは否定しない。
俺自身は、先程も説明したが、もはや日本人と言っても過言ではないほどだ。
嫁達、娘達全員、嫁の下位神にあたる眷族、その加護をそれぞれ受けている種族、それらすべての名付けをした俺の感覚が、それを物語っている。
良くある異世界での名前なんか、俺からしたら、すべてキラキラネームとしか思えない。
まぁ、そういう感覚だ。
俺は日本人!
種族が、魔法の使えない人族ではない、というだけ。
それだけだ。
コホン
本題だ。
今回の指導班は、
うちのクラスは10人しかいないが、そのうちの9人が特別指導を受けているわけで、当然教室には俺と生徒1人しかいない。
流石に授業はできない。
ドッシューーン!
「先生!今さっき、私ひとりになってしまいましたが、早く講義を聞きたいです!ダメですか?」
と、存在感は薄いが、真面目で何事にも偏見を持たない素直な女の子、サオリが手をあげて講義の開始を催促している。
(真面目だよなー。いい子なんだよなーこの子。でも、ここを出たら転生して、世界を
俺は、その事実を知りながらも健気に頑張ろうとしているサオリに温かい眼差しを向けていた。
「サオリってさ、ここに来てどれぐらいたつの?」
俺は、自分のクラスの生徒をあまり覚えていない。
記憶には保存されているが、その量が膨大すぎて、的確に把握しきれていないのだ。
あえて把握しないというのは内緒の話だ。
転生者はしょっちゅう入れ替わる。
最近は特にひどい。
ここ1ヶ月で、すでに2桁を超えている。
日本の転生者予備軍、死にすぎだろ?
もっと長生きしてくれよ!
と、思わなくもない。
「先生〜。そろそろ覚えて下さいよぉ〜。私の属性も先生が担当なんですから…マイペースですよね、そろそろ6ヶ月ですよ」
呆れたようにサオリは笑いながら答えた。
☆☆☆
俺のクラスは、転生者として異世界に送り出して良いかどうかという適正を見極めるクラス。
転生者にとっては、最初の難関が俺だと言う事だ。
あと、神格も含まれてはいるが、属性として見るなら、闇と光が俺の担当。
無属性、つまり魔法が使えない者も俺の担当だ。
俺の持っている破壊と創造の能力は別枠なので、ここでは割愛する。
これらを、転生先で転生した種族で正しく扱えるかどうかを指導する。
まぁ、指導すると言っても、原理や使い方をおしえるだけで、実技は一切していない。
俺の実技は、本人達にとって、なんの参考にもならないからだ。
人間レベルで扱える代物じゃない。
よって、講義を受けて実践するのは本人の力量次第。
無属性の者は、ただただ人としてアリかナシかを見定める。
そんなサオリは真面目であり、適正もある。
(何故こんな子に適正があるんだろう…破壊属性と闇属性に適した実力もあるんだよなぁ…破壊属性なんて、ふざけた属性は存在しないのになぁ…)
こんな事をふと思ってしまう。
現在の転生者は、無作為に異世界転生するのではなく、ある条件を満たしてなければ、そのまま地球で、輪廻転生という形で普通に地球で生まれ変わりを繰り返す。
コホン
ここ、転生者予備校に来た時点で、異世界に転生する資格があるのは確定。
更に、転生する適正がある者は、各自の属性にあったクラスへ移動となる。
ここで言う適正とは、異世界に転生して、本来の役割を果たせるかどうか、正しく能力を使い、人の役に立てるかどうか…等、適切な人材かどうかを、適正があるかないかと言う言葉に置き換えて、判断基準としているわけだ。
つまり、異世界転生をして、無双するなりスローライフを満喫するなりしたいのなら、資格があり、尚且つ適正があると認められなければいけないのだ。
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