第11話 サオリvs竜神チーム 1

「ほう。魔力枯渇で倒れておるとはのう」

「おかえりなさいませ。アイ様」

ユウキが労いの言葉をかける。

アイの復活である。


顔がテカテカしていて活き活きとしている。

余は満足じゃ…とでも言いたげな表情をしていた。


「ふむ。満足したぞよ」

チッ…この、顔に出る癖、なんとかならないのか!


そこで、アイの顔を見たユウキが、アイとアイコンタクトをとった。

フッフッフ…どや!


………。


つか、2人のこのアイコンタクト、嫌な予感しかしない。


すると、ユウキはおもむろに竜神達のところへ行き、何やら話をしている。

(ホッ…思い過ごしか…)


「「「「エェェェーー!!!」」」」

驚愕する竜神達。

なんだ?

何を話した?


ニコニコと帰ってくるユウキ。

しゃがんで円陣を組み、真剣な表情で話し合う竜神達。


そして、いつの間にか出現している例の扉。


「10分じゃぞ」

「承知しております。その間、あの者達も覚悟し、作戦を練る事でしょう」

お前らなー!

勝手に話を進めるんじゃねーー!


「楽しんでまいれ」

「御意」

嫁ーズこわっ!


「ささ、旦那様。次は我と戯れましょう」

「ちょ…ま…あぁぁぁーー!」

(やっぱり、この流れかよぉぉー!)


俺は、ユウキに引きずられるように扉の中へと連行されていったのだった。


☆☆☆


10分後


作業を終え、扉から出てきた俺達を待っていたのは、アイを始めとする竜神達の驚愕の表情。

全員固まっている。


竜神達はともかく、アイが瞬きもせず、目を見開いて固まっているのはあまり見ない光景である。


「旦那様、あれを!」

アイ達を見ていた俺に、ユウキが視線を促した。


何?

ユウキとのあれこれが気になる?


下着の色は黒、半透明に見えるほど薄い生地でできた、生地をあまり使用していない下着だよ。

下半身の下着は、上半身よりも生地の部分が更に少なく、後ろから見たらヒモしか見えない、そうアレだよ。

気になるというなら、俺はこの、その下着をつけてて、動き回って、何故お尻が見えないのか、の方が気になるわ。

チャイナドレスのスリットから見える肌面積は、スリットの付け根から編みタイツまでの三角だけだからな。

普通、動き回っていたら見えるよな?

いや、知らんけど。


って、それどころじゃない。

闘技場の真ん中で、サオリがストレッチをしている。

俺達が扉に入る時には、間違いなく魔力枯渇でぶっ倒れてたはずなのに…だ。

アイの様子を見る限り、魔力補充を施したわけではない事は一目瞭然だ。


「何があった?」

俺は、アイにサオリについて聞いてみるしかできなかった。


「じ、実はじゃな…」

と、正気に戻ったアイは、事の真相を語った。


俺達が出てくる、少し前


サオリはムクッと起き上がり、しばらくすると体についた埃を払い

「あぁ、やっちゃった。魔力枯渇なんて久しぶりにしたよ。まだまだだな私…この10分が命取りになる可能性もあるのに…ふぅ」

とか言いながら、元気いっぱいにストレッチをし始めた、との事。


いやいや、まてまて。

それはおかしい!

今のサオリは、魔力がフル充電されている。

サオリは、そもそも超回復のスキルは持ってなかったはずだ。

魔力補充もしないで、この10分ほどで全回復した…だと?

そんなの、俺達神一族でも厳しいんじゃないか?


「しかし、事実なのじゃよ。竜神達も見ておる」

アイの言葉に、ウンウンと揃って頷く竜神達。


「………」

押し黙るユウキ。


まさに、空気が凍ったように観客席は静まり返っていた。


「どうした?ユウキ?」

「いえ、実は…あの部屋に入る前、サオリの実力を試そうと竜神達に、サオリ対5人のバトルを提案したのです。サオリには、後で話をつけようと黙ってましたが…まさか、サオリがこれほどとは思わず…」

ユウキは 失敗したー! みたいな顔でうなだれてしまった。

あーね。さっきの話、竜神達の驚きは、これだったのね。


「「「「はぁぁぁぁぁ…………」」」」

竜神が、全員揃って一斉に深いため息をついた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る