第12話 サオリvs竜神チーム 2
ユウキと竜神達は、観客席から闘技場に場所を移し、サオリに提案の是非を確認して、お互いに闘技場の両端に陣取った。
(直径1kmだぞ?そんなに離れなくても…神はともかく、サオリは相手を視認しづらいだろう)
と、思わなくもない。
が、そんなサオリを見てみると、端に行くや否や、観客席まで10mはあろうかという高さの壁に寄りかかり、居眠りをし出した。
大したもんである。
それ以上は何も言うまい。
ちなみに、サオリが承諾したセリフ
「やります!やりたいです!神様を蹴散らします!」
と、堂々と言い放った。
な?大したもんである。
そうこうしているうちに、神陣営がピリピリといた空気に包まれる。
ユウキを前にし、5人が直立で相対している。
スポーツで言うなら、5人だからバスケットボールのベンチ風であろうか。
もちろん監督はユウキ。
「いいかお前ら!相手は人間といえども予備校において企画外!わかっているな!」
気合いの入るユウキ。
「ふあぁぁぁ〜」
目を覚まし、何事もなかったように立ち上がり、大あくびをしながら背筋を伸ばすサオリ。
「「「「「はぁぁぁぁぁ」」」」」
そんなサオリを見て、ため息をつく竜神達、もう帰りたい みたいな雰囲気になっている。
サオリはというと、竜神チームの話を聞く事も無く、着替えに行きたいと言うので、すぐさま席を外した。
再び、ユウキの叱咤が飛び交う。
「神がそんなやる気のない態度でどうする!我々は選ばれし精鋭である!忘れたか!竜神選抜戦において、他の竜神を蹴散らし、我を除く選ばれた9人なのだ!」
(あれ?元々、ユウキを入れて9人だったような…聞き違いか?)
「何を寝ぼけた事を考えておる。天魔殿のクラスは10人じゃ。全員が指導をできるように、あやつらも、ユウキを入れて10人に決まっておろう、顔に思いっきり出すでない。まぁ、天魔殿らしいがの…ホッホッホ」
さいですか。
特別指導なんて来ないから知らねーわ。
「なら、あとの1人は?交代でいないって事?」
「いや、違うのう。アサミは普段、表には出てこぬ。今頃、控室で寝ておるじゃろう」
(いいのかそれで)
「じゃが、実力は本物じゃ!ユウキの妹でもあるしの。ここに居ても、しっかりと仕事の時は異世界に出張っておる。いずれ、
「へー。そりゃすごいな。で、寝てるって何担当の竜神?」
「インキュバス狩りと、悪魔に魅入られた性犯罪者、その予備軍の排除じゃ。雷と性を司る竜種の神じゃからの」
「性を司る?排除??」
「そうじゃ、男たちの精気や生気を吸い取っておる」
吸い取る?あんなことやこんなことをして??
「まるでサキュバスだな」
思ったままを口にしてみた。
考えても、どうせ顔に出るだろうし。
「サキュバスは悪魔じゃ。それに、あやつら一族は昔、天魔殿が全員、骨抜きにしたであろう。覚えておらぬのか?」
「いや、それは覚えてるけど」
そう、淫魔であるサキュバスは、男を魅了し、悪魔の手足となるよう躾られるのだ。
そういう方面に興味があればあるほど、サキュバスに魅了されやすい。
結果、性犯罪を生み、被害者は憎悪と悪意を宿すようになる。
そうして歪んだ性根は、また違う犯罪に繋がり、連鎖的に悪意、殺意、憎悪が蔓延るようになる。
悪魔の思う壺だ。
そうならないために、俺は奥義である、1秒を1万年にする超時間圧縮の能力を使い、サキュバス1人あたり、5秒を使って全員を骨抜きにした。
「そういや、元人族の神達はあちこちにある施設の清掃員、サキュバス達は、そこのスタッフだったな」
「そうじゃぞ?全員、天魔殿に躾られたせいで、そっち系はトラウマになっておるわ。ホッホッホ」
それ、もうサキュバスじゃないよね。
ただの悪魔のお姉さんだよね?
☆☆☆
そんな話をしていると、闘技場の出入り口から、噂のアサミが大あくびをして、竜神に向かい、叱咤激励中のユウキに近寄ってきた。
「…わかったか!」
「「「「「はい!」」」」」
アサミは、俺の方を向き、私を見てー!というような大げさなリアクションでウインクと投げキッスをして
「姉さん、ちょっと行ってくる」
とだけ言い残し、転移魔法を使い姿を消した。
服の色使いは竜神と変わらないが、服のデザインはユウキと大して変わらない。
金色の1本角がやけに目に入った。
「なんだ?こんな時にわざわざ言いにくるとは…いつもは、好きな時に念話で連絡してから行くと言うのに…」
今の行動は、通例ではないようだ。
何かの意図があって動いた可能性がある。
俺へのアピール目的か?
「うーむ。あやつ、何か掴んだのかもしれんな。その上で、本気で天魔殿の嫁になる気じゃ!龍神に昇神すれば、その資格を得る…あやつは侮れん奴じゃわい」
アイは腕を組み、何やら考え事をしだした。
は??
龍神になったら、俺の嫁になる資格を得る?
何それ。
初耳だよバカヤロー!
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