第6話 サオリの実力
「やったぁ!今日はちゃんと本気を出しますからね…ウフフ」
「あ、あぁ…頑張れ」
(サオリの本気かぁ…そういや、デモストレーションの時は、いつも派手な攻撃やらなかったような気がするなぁ…破壊属性なんておかしな属性もあるのに…)
俺は、定期的に行われるデモストレーションを思い浮かべる。
特に目立った様子はなかったはずだ。
何故、こんなに自信に満ち溢れているのに、影が薄いのだろう。
まさかな…。
ふと、ある結論に至ったが、ここは神が運営している学校。
並大抵な能力では誤魔化しが効かない。
心を読めるのは、俺やアイ達、嫁ーズの面々のみだ。
俺は、あえて人の心を読まないようにはしているが、俺自身が読心術を遮断していても心を読まれる。
顔に出るからだ。
不幸すぎる。
え?俺は神ではないだろうって?
悪いな、カテゴリーは悪魔に該当するが、本質は創造神であり破壊神でもあるんだな俺は、あくまで悪魔だけど。
フッフッフ
だから、厳密に言えば、悪魔が破壊と創造の神格を持ち、闇と光は、神格はあるが属性として扱っているわけだ。
それ故、俺の名前の由来は、天神界と悪魔界を統べる者という意味で 天魔 と名付けられた。
名付けは、元八百万の神と呼ばれていた神達の代表神、始祖神、男神、女神達だ。
その神達は、過去にいろいろあって、今は亜空間に点在する各施設の清掃要員だったりする。
ゆえに、本来は 破壊属性 なんて物は存在しない。
だが、サオリはそれを持って、予備校に来ている。
考えてみたらおかしな話だ。
「あのぉ、旦那様?」
「先生?」
ふと見ると、ユウキとサオリが俺の顔を見ながら不思議そうにしていた。
竜神達もコロシアムの座席に綺麗に並んでいる。
予備軍は唖然として、コロシアムの中央で固まって何か話をしている。
もうすでに、こちらの意図を汲んでスタンバイ済みらしい。
「天魔殿らしいのう。そんなにサオリが気になるかや?」
知らぬ間に、アイもコロシアムに来ていた。
こらこら
亜空間の管理はどうした?
☆☆☆
管理を放棄したであろうアイが音頭をとる。
まぁ、いいだろう。
「妾は管理放棄などしておらぬわ!フッ」
顔に出てたか…チッ!
「ではサオリよ、思い存分やるが良い。あやつらが死んだら、天魔殿が蘇生させるから遠慮はいらぬぞ」
「はーい!頑張ります!」
と、いうや否や、サオリは予備軍の前に移動していた。
(い、いつの間に…俺が知覚できなかった!)
「天魔殿は、サオリを見くびりすぎじゃ。あやつの能力は凄まじいぞよ。普段は気配も感じさせず、妾達、神をも欺いて目立たぬように振る舞っておったようじゃがな」
「マジか!」
「マジじゃ」
「つか、俺が蘇生する前提なんだな」
「無論じゃ。そうでなくては、やる意味がない。本気のあやつを見るために妾はここに来たのじゃからな」
さいですか。
「では始めまーす!」
サオリが宣言する。
と、同時にヤジを飛ばす予備軍達。
「なんだてめー!味噌っカスのサオリじゃねーか!転生先で魔王になるからって調子に乗ってんじゃねーよ!」
俺の胸ぐらを掴んだ、ガキ大将的な奴だ。
ガタイはある、顔は強面、相撲取りにでもなった方が幸せなのでは?と思わせる奴である。
あいつの名前?
モブ1号でいいんじゃないか?
転生先は、とある世界の魔獣の森で、転生種族は自我のある魔物、ゴブリンだし。
「そうだそうだ!贔屓だ贔屓!お前は引っ込んでろ!」
あとの取り巻きは、勇者や賢者、魔法使いや科学者など多種多様だが、おそらくいろんな意味で無理だろう。
モブ1号からモブ9号までの9人。
それでいい。
自分らが、特別指導を受けている立場ってのをまるでわかってない奴らなんだから。
ドン!!!!
「「「ガフッ…」」」
ドタドタ…
「!!」
それはいきなりだった。
9人全員が吐血して即死した。
竜神達も、何人か失神している。
ちょっとビックリした。
「ほう…」
「なるほど…」
アイとユウキは、何やら納得している。
スチャッ
「旦那様、アイ様、我が同胞に結界を張らせていただきます!失神した者は、一旦、異世界の加護に回らせて、他の同胞と交代させます!不甲斐ない同胞をどうかお許し下さい!」
ユウキは、俺とアイの前で片膝をつき、深々と謝罪をした。
「いいよいいよ、そんなに気を…「許す!」」
俺がユウキをフォローしようとしたら、アイが被せてきやがった!
まぁいいや。
「先生ー!蘇生お願いしまーす!」
明るい笑顔で、手を振りながら叫ぶサオリ。
(こ、こいつは…)
たぶん、アイはすべてわかっているのだろうが、サオリはとんでもない逸材なのかもしれない。
「わかった」
俺は、横たわっている9人を見て念じた。
(蘇生!)
はい。9人復活。
内臓がぐちゃぐちゃになってたけどな。
サオリがやった事、それは…。
ただ、軽く殺気を放っただけだった。
その殺気が大気を震わせ、あの音を出した。
それだけだ。
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