カラス
暖房のついてない部屋の中
布団をかぶって目を瞑る
カラスの声がひとつ聞こえた
僕は冷たい足を擦り合わせ
瞼の裏で想像する
微かな月明かり
冷たい夜
闇色の羽が夜に溶け込み
艶やかな嘴は空へ向けられる
その瞳はどこか物憂げ
ひとつの声をあげたカラスは
一体何を想っているのか
カラスの声がひとつ聞こえた
さっきのカラス?それとも別の?
瞼の裏には二羽のカラス
一羽は低い神社の塀
一羽は高い電線にとまって
冷たい夜を凌いでる
一羽のカラスが羽ばたいて
夜を滑って消えていく
それを見上げる一羽のカラスは
一体何を想っているのか
カラスの声はもう聴こえない
カラスはこの冷たい夜を
一体どうして過ごすのか
夜を滑って高くから
眠らない街を見下ろすのか
静寂に満ちる神社でそっと
柔らかい朝の光を待つのか
寒さに沈む夜の中
カラスの隣に温もりはあるのか
微かな月明かり
冷たい夜
闇色の羽が夜に溶け込み
艶やかな嘴は空へ向けられる
その瞳はどこか物憂げ
僕は暖かな布団の中で
ほぐれた足を楽に伸ばす
瞼の裏には一羽のカラス
冷たい夜に鳴いたカラス
つま先はとっくに暖かかった
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