第8話
【涼side】
竜、私達どうしたらいいの? 私は、どうすればいいのだろう。
教室に入って行くと友達の早織が心配そうに言った。
「涼、顔が赤いよ。風邪引いたんじゃない。保健室に行く?」
「早織ごめん。帰るから竜が来たら言っといてくれる?」
「いいけど……竜くんのプレゼントは?」
そうだった。早織と買いに行くはずだったのに。
明日、竜のプレゼントを買いに行く約束をして私は学校を出た。
家に真っ直ぐ帰って、私の部屋で竜の事を考えていたら、後ろから抱きすくめられた。竜……?
「涼、どうして一人で帰ったの? 僕をおいて」
竜が耳元で囁く。私は竜の顔を見る事が出来ない。竜の瞳を見てしまったら後戻りが出来なくなる。
「涼、愛してる……」
そう言って竜は、私を抱き寄せた。
「涼、泣いているの?」
「竜、駄目よ」
嬉しかった。でも、それ以上に私は、こわかった。
【竜side】
「涼、愛してる……」
僕が涼を抱きしめて言った。
涼はビクンと体を震わせ、そして言った。
「竜、駄目よ。私達……」
「姉弟だから? それとも僕よりも好きな奴がいるの?」
涼はなにも言わないで、肯定するように頭をコクリと下げた。
「どっち?! 分からないよ……言ってよ! 僕を愛してるって」
「竜じゃない。他に好きな人が……」
涼の言葉に僕はなにも言えない。悲しくて苦しくて死んでしまいそうだ。
「分かった……」
それだけ言うのがやっとだった。
涼! 涼! どれだけ愛しても僕を見てくれないんだね? それなら、まだ嫌われた方がいい。
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