第7話

 後輩の(誰だっけ?)と別れた後、教室に戻ったら涼がいない。

 僕を探してると思って迎えに行くと生徒会長と一緒にいた。涼は何だか泣いている様だ。

 頭に血が昇って奴に向かって行こうとしたら涼が先輩に微笑んだ。


 その時、僕の頭に昇った血が一気に下がっていった。

 涼、そいつなのか? 好きな奴って。

 奴も笑って教室に入った後、涼が教室へ行こうとした所を思わず腕を掴み

引いた。


「あっ竜、どうしたの?  探したんだから。早く給食食べないと……」

 僕はよっぽと顔色が変わっていたらしい、涼も顔色が真っ青になった。

「竜……何で怒ってるの? 何かあった?」


 泣きはらした瞳に、また涙が湧きあがりポタンと、ひと滴落ちた。

 それを見たら僕が凄く極悪人になった様で、涼を抱きしめ「ゴメン」と言ってた。

 涼は、わんわん泣きながら僕をぎゅっと抱き返した。


「涼、そんなに泣かないで。こっち向いて……」

 僕は、声を出すのがやっとだ。涼が愛しくてたまらない。

 涼が顔を上げて僕を見つめる。涼の瞳の中に僕がいる。

 震える両手で、涼の顔を挟み、そっとキスをしたら涼が目を閉じた。


「竜……りゅう……」

 唇が離れたあと、涼が僕の名を呼ぶ。僕も涙が湧き上がってくるのを止められない。

 涼は、僕の涙の訳を知っているだろうか。僕がどれだけ、涼を愛しているかを。


 賑やかな声が聞こえて、お昼のチャイムが鳴った。

 涼は僕をおいて走って行き僕はただ、その場から動けないまま立ち尽くすだけ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る