第4話
びっくりした。竜が急に好きな人が出来た? なんて聞くから。
そんな人なんかいないのに。
来月は竜の誕生日だからプレゼント買いに行くのに一緒に帰ったら分かっちゃうじゃない。
でも、なんで竜はあんな恐い顔してるの? 何か気にさわる事言ったかな。
「竜、そろそろ行かないと遅れちゃう」
食事が終わって、二人で学校への道を歩く。
竜は、まだ機嫌が悪くて。心配になった私は顔を覗き込む。
父に似た切長の目をしてるけど、全然違う温かい瞳。
「なに? 僕の顔になんか付いているの?」
竜が少し伸びかかった髪を掻き上げ、先生に叱られるかな? と笑う。
ついこの間まで私と変わらなかったのに、いつのまに背が伸びたんだろう。
竜が笑った。私はなんだかホッとして竜に笑いかける。
竜、まだ怒ってる? 学校に着いて片桐君と話してたけど顔が強ばってる。
あんな竜は初めて見た。決して愛想が良いタイプではないけど人気はあると思う。特に女の子にね。
ぼんやり考え事をしていたら先生に叱られて、無意識に竜の方を見たら目が合って、急に恥ずかしくなって目を反らしてしまった。
お昼の時間になって、竜を目で追ったらどこにもいない。
給食だから時間迄に食べなきゃいけないのに。
(しょうがないな~探しに行くか)
竜を探して歩いてたら、階段の方から声が聞こえた。
「美月先輩、好きです。わたしと付き合って下さい!」
私はその場で固まってしまった。
何回も聞いた事があるのに。竜が結構もてて、告白されているのが分かっていたのに。
嫌だった。竜が誰かと付き合うのが、私以外と楽しそうに話すのも。
いたたまれなくなって、私はその場から逃げ出した。
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