第2話 別れる原因は......
「千鶴子、別れよう」
待ち合わせ場所に向かうと、既にベンチに座っていた太志が、千鶴子の姿を認めるなり、挨拶を交わす前から単刀直入な言葉を発した。
「誰か別の女の人が出来たから?」
久しぶりに2人で会ったのだから、近況報告をし合うとか、体調の確認とか、何か別の言葉から始めても罰は当たらないと思えた千鶴子だったが、とにかく噂の確認をしたかった。
「そうだ」
そこは隠す事の無い様子の太志。
千鶴子は、そんなストレート過ぎる太志に苛立ちを感じた。
「それなら教えて!私に無くて、その人に有るものって何?」
既に、その女性を見かけていたなら、千鶴子も納得出来たかも知れないが、それが叶わぬ以上、太志の意見を率直に聞きたかった。
太志は、しばらく言うのを躊躇い、やがてボソッと口を開いた。
「色気かな」
女らしさと言われたら、今後、努力は出来そうだったが、色気と言われると、自分には到底無理そうだと思えた千鶴子。
そこを要求してくるような太志ならば、元より千鶴子の方から、勘弁願いたいとキッパリと割り切れた。
「そういうこと......了解!お幸せにね、太志!」
自分でも疑問に感じるくらいあっけらかんと後腐れなく、太志の前から立ち去った千鶴子。
太志の方も、思いの外、アッサリと千鶴子が認めた事で、暫し放心状態になってから、帰途に就いた。
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