『冒険者登録、職業、獣士』
歓迎の騒ぎが後を引き、まだまだ騒がしい街を神子たちはそれぞれのプランの元に動く。
ほとんどは冒険者になるためにギルドに向かい、正式に登録された。
次に多かったのは商人。
Vのキャラクターとして社長キャラなどは商人になった。
最も少なかったのがこれら二つにならないですぐにストーリーモードをやめる者たち。
もともと性に合わなかったのか、ただ単純に最初だけ混ざりたかったのかはわからないが、それも一つの楽しみ方だろう。
ちなみにバトルモードの方が好きだという人もさらっとストーリーモードからバトルモードに移行している。
最初の説明で言ったようにストーリーモードの中で様々なアイテムを獲得したとしても、他のモードやモード選択やプライベートルームがある世界に持っていくことはできない。
外見装備に変えられるポイントが得られるだけだ。
まあ、このゲームをやっているほとんどの人はただ単純にゲームを楽しんでいるだけなのだが。
さて、関係のない話はここまでとして視点をマッドちゃんに戻そう。
^^^^^
街長の館から出たマッドはもちろん冒険者ギルドに登録しに行った。
歓迎的な意味で興奮冷めやまない街中を小さな体を生かしてスルスル進み、冒険者ギルドの戸を叩く。
「らっしゃい。」
ガチムチ(雄)受付嬢(女性用と思われるフリルのふんだんなスカート姿)が受付に座っていた。
マッドはすっと扉を閉めた。
「お、オン…」ガクガクガク
「キュウウウ…」ブルブルブル
「スゥーー」
目を閉じて深呼吸するマッド。
扉を開ける。
「らっしゃい。」
現実は変わらない。
「( ,,`・ω・´)ンン…」
マッドはあきらめた。
するりと扉をくぐり受付嬢の前まで行く。
ちょうどマッドの胸のあたりまでの受付の机を両手でつかんで上目遣いで受付嬢を観察する。
「ご用件は?」
「と、とーろ、く。」
「登録、か?じゃあ、この紙に必要事項を書いてくれ。」
「ン。」
私がおかしいのか?
マッドちゃんのコミュ力がおかしいのか?
マッドは必要事項を書くと受付嬢…嬢?…に、渡す。
ちなみにコメント欄は最初に扉を開けてから動いていない。
「よし、確認した。名前はマッド=ディガルドでいいんだな?」
「ン。」
「FNとLNどっちで呼んでほしい?」
「まど!」
「FNだな。わかった。」
ポンポンと用紙に内容を付け加えるガチムチ。
書き終えた用紙をヘンテコ機械にかけると無駄かどうかはわからないが壮大な音が流れ、シュゴーギギギ、バキン、ジュロロロロ、ピー!と、灰色のライセンスカードが作られた。
「ほい、これがライセンスカードだ。名前とかの個人情報が保管されている。冒険者としての必要知識も確認できるから絶対に確認しろよ。…お、獣士か、かなり珍しい職業についてんだな…さてマッド、あんたの活躍を、そしてその名をとどろかせることを願ってるぜ。」
「ありがと、お!」
「ま、今は魔物…いや、魔族の方たちとの戦争って感じじゃないからな。新しい敵が出てきてんだ。故郷星は無事だといいがねぇ。」
ニッコニコのマッドに聞こえないようにガチムチは少し哀愁漂う顔でつぶやく。
「ストーンカード冒険者への依頼掲示板はあの石でできたやつだ。灰色で分かりやすいだろ?あっこに貼られてる依頼書をはがして、俺らが受注するってこった。試しになんかはがしてこい。」
「( ,,`・ω・´)ン。」
テコテコと掲示板に歩み寄る姿を見て受付漢は頬を緩ませる。
在りし日の娘の姿を幻視して、左手親指の傷だらけの指輪をなぜる。
「ロゥラ…」
大きな体は外見と違って小さく見えた。
「( ,,`・ω・´)ンン!もて、き、た!」
目線を上げると元気いっぱいな笑顔と両手で差し出される依頼書があった。
マッドの腰に付けたライカンマークが揺れる。
「おう、どれどれ…住民街でのペット捜索か、いいんじゃねえのか?よし、受注しよう!」
受注のハンコを押しながら、どうかこの子は娘と同じ末路をたどらないようにと祈った。
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