『なぜNPCは弱いのか?《2》』



 中央都市レティア。

 人口数十万人のその城塞都市は神聖都市を兼任する宗教都市だ。

 世界を創造した『錬金神』をあがめる『錬金教』の大聖堂と人王の城が隣り合うように建てられており、城が政治を、大聖堂が人をそれぞれ管理していた。

 レティアに入った『ゴブリン殺し殺し』は冒険者ギルドに向かって進む。

 その光景を懐かしみながら歩き、全域から星欠ける日(少し欠けた状態のこと月で言うと十六夜月?なのかな?って感じ。)に変わっていくアルブルンを見上げた彼は不意に声をかけられた。


「君がゴブリン殺し殺しかな?」


「…?」


 声の方を向けばかなり筋肉質な美女がいた。

 胸部と股間を隠すぴっちりとしたタイツみたいな服にこぶしを守るナックル状の革籠手、背中には大きな大剣を背負っていた。

 身長は190センチほどだろうか。


「私はライネ。『日和見の狂闘士ナチュラルバーサーカー』とも呼ばれているんだ。よろしくな。」


「バディだ。」


 ギルドはこっちだと先導するライネについていくバディ。

 しばらく大通りを進めばこの世界の知識がなくとも重要な建物だとわかるほどの存在感を放つ建物が見えた。

 一階部分は石でできており、城壁に取り付けるような見た目の扉が大きく開かれていた。

 二階と三階は木製で、ベランダには住人であろう人のものだと思われる服や下着、防具が干してあった。

 二人はそのまま冒険者ギルドに入っていき、空いている受付の列に並ぶ。


「おあ?ああ!姉さんじゃん!おーい!先譲るぞ!」


 が、一番後ろにいた冒険者にライネが見つかると、彼が声をかけ並んでいた冒険者たちが横に避ける。


「ありがとうな。」


 と、ライネは受付に進み、バディと一緒に裏にある会議室まで通されるのだった。

 因みにその場にいた冒険者はバディのことを全く知らないため、誰???となったのは言うまでもない。


^^^^^


 レティアの冒険者ギルドの会議室ではバディが入る前にすでに数人の冒険者と一人の職員が集まっていた。

 各々が好きに過ごしており、ネットワークで何かをしている者、連れ込んだであろう男の子に御菓子をあーんしてもらう者、なぜか委縮してびくびくしている団体などがいた。

 ライネは全体を一瞥した後、一つだけある大きなイスに腰かけた。

 バディも適当な席に座り、依頼内容が話されるのを待った。

 バディの後にも数人の冒険者が入り、教皇と人王が入ってきたところで会議室が施錠された。

 上座に座る人王が手を一つ叩き、注目を集める。


「集まってくれて感謝する。ここに集まったのは二つ名を名乗ることを赦された人間だけだ。判別できるようにそれぞれを紹介していこうと思う。」


 人王から見て左側のびくびくしている団体。


「彼ら彼女らは「力こそ正義ジャスティスパワー」。臣下の令嬢を連れ戻してくれた者達だ。」


 全員からの注目が集まったことでより一層震える団体。

 …ゴブリン殺し殺しからの若干の殺気も震える要因な気がする。

 団体のリーダーなのか、一人の好青年が前に出て挨拶をする。


「「力こそ正義」のリーダー、タンプルです。えっと、他の方と違って僕らは団体として二つ名をもらっているので、その…お手柔らかにお願いします。」


 パチパチ…


 哀しい拍手がこだまし、力こそ正義達はすごすごと席に戻る。

 次に人王はその隣の少女としか思えない男の子を侍らしている女性を指す。


「彼女は『快楽の姫暴君ハッピーレオプリンセス』。重銃器のプロで、私の愛人の一人だ。」


「人ちゃん、その部分の紹介はいらないわよ!はじめましての子たちは初めまして。本名は伏せるわ。姫ちゃんって呼んでね?」


 パチパチ!


 人王の力強い拍手が木霊した。

 次はその横のずっとネットワークを見ているチャラそうな男。


「彼は『寡黙な盗賊家スティールムードメーカー』。暗殺術とムードメイクのプロだ。」


「おいおい、うれしいこと言ってくれるじゃないっすか!どうも~レディってのが俺の名前だ。きれーなネ~ちゃん、イカした坊ちゃん、全員まとめてよろしくな!」


 シーン…


「拍手しないんか~い!」


 ハハハ…


 と、笑いが起き、すぐに微妙な空気になる。


「ご、ごほん。では次。」


 人王は前に居るボッとしている少年を指す。


「彼が『星抉りジブルーンベイル』。その見た目とは裏腹に、彼の攻撃はこの街すら消し飛ばすぞ。」


「…。」


「…じゃが、まあ、見ての通りの性格で、基本穏やかじゃ。仲良くしてやってほしい。」


 …


 微妙な空気が(以下略


「次は…」


「私ですね!」


「そうじゃ、隣人にしてこの町のもう一人の顔、教皇アラスタイエこと『信仰の教皇アストルフォ』じゃ。」


「お初にお目にかかるのは『ゴブリン殺し殺し』君だけかな?初めまして。私はアラスタイエ。神より『神聖術』を授けられし教皇だ。以後よろしくね。」


「…ああ。」


「ふむ、おしゃべりは嫌いかね?おっと、話しすぎたかな?では次に行ってみよう。」


 マシンガンジジイが団体の逆にいる青年を指さす。


「彼は『異種族の隣人マスターヒューム』。他種族との通信役としても活躍してくれている。」


「よろしくね。」


 パチパチ…


 そして次はライネ。

 最後にバディの紹介を終えて、依頼の本題に入る。


「先日、錬金神より神託…というか、かなりこの世界の命運を動かす事が発表された。このことは後々に民たちに知れるようにお触れを出すつもりじゃ。」


「神より神託…神はなんと?」


「神が創造せし『神子』の方々がこの世界に舞い降りられ、この世界の時間が進みだすと。」


 そのことを聞き、その場の全員が色めき立つ。

 というのも、この世界の創造時に造られた各王たちはこのことを生まれたときに聞かされていた。

 ある程度文明や世界状況が安定したら神自らが創造した子供たちがこの世界に舞い降り、さらなる発展をもたらすと。


「それで、君たちに依頼する。内容は、彼ら彼女らの前である程度まるで弱いかのようにこと。神によって想像された彼ら彼女らは確かに強い。死してなお復活する力と我々の知らない知識を持っている。しかし、王たちとは違って不死身ではない。」


「つまり、関与はしないでいいけど、常にみられていると考え、全力を出さずに動けと?」


「簡単に言うとそういうことだ。」


 教皇の的を得た答えに王はうなずく。

 王が言っていることを要約すると相手を立たせてやれ。

 簡単な八百長をしろということ。


「神のご機嫌取りってことか?」


「半分はそうで、半分はそうじゃない。神の機嫌取りだと言われてもそうだと言えるが、何より大事なのは神子の方々は、神の住まう世界の住人。そしてその世界は我々のいるこの世界の何倍以上も広く、何倍以上もの住人がいる。最初に入ってこられる神子の方々はこの世界の発展のためにこの世界を他の住人の方々に見せるために彼ら彼女らの後ろから見た景色を動く絵としてネットワークに流すらしい。そうなれば、もし君たちが常人離れした身体能力を見せつけた場合、発展の必要なしと判断されて技術を持つ方が入ってこないかもしれない。ので、常人より優れた程度の身体能力で行動してほしい。」


^^^^^


ちょっと区切りとかが変ですが、異世界視点よりマッドちゃん視点を書きたいので割愛させて下し異

いby著者


^^^^^


 依頼を承諾した二つ名持ちたちはそれぞれのホームシティに帰っていった。

 人王城の頂点、そこに一人の人物が立って、帰るバディをジッと見つめていた。


「面白くなってきたな!」


 そう言い残し、その人影は消え去った。



あとがき


 今回は大丈夫…!

 前回遅れた理由はただ単純にいそがしかたからデフ…

 遅れるときは少ない文字数の時でも投稿して次は少し遅れるよ!と、あとがきに残します(と思う…思いたい!)のでヨロシクオネガイシマスゥ…


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