現実でのお話

『退院』


 経過観察病棟に入院していたトモコだったが、五期生コラボを終えてすぐに退院となった。

 弟の明神ミョウジンが宝石の乗った手押し車を押すように丁重にトモコの乗った車椅子を押す。


「「「退院、おめでとうございます!」」」


 パチパチパチパチとトモコの病院内でのあらゆることに関わった医療従事者達が笑顔で送り出す。

 自動ドアを通り過ぎで外に出ると、さくの所有車が止まっていた。


「ともちゃん、退院おめでとう!明神くんも、ごめんね?」


「…」ブスゥ…


「あ、あはは…」


 トモコが事故にあってから手術が終わり、更には意識を取り戻して、さらにさらにVとしてデビューしたあと、ここでやっと唯一の肉親、明神に連絡が行った。

 結果、大激怒。

 190センチある身長とゴリマッチョな体を使ってトモコの病室まで突き進み、トモコに撫でられながらめっちゃ泣いた。

 2日ほどトモコにそれこそ一瞬たりとも離れることなく明神がそばに侍り、食事から入浴、排便まで手伝った。

 が、社会人2年目の明神は有給を使い切り、泣く泣く…本当に泣きながら仕事に行った。

 その後も色々ありながら、さくを許してはいないが、姉に免じて承諾しよう。と、決めたらしい。

 話しかけても答えないどころか、トモコがいなくなると威嚇してから離れるという明らかに(一方的に)不仲だが…

 その話は置いておいて、車に乗り込んだ雀姉弟は、トモコの住んでいた家に向かう。

 残酷な話だが、精神疾患と四肢疾患があるトモコは普通の生活ができない。

 ほぼ四六時中、介護人が必要だし、その介護人は女性の必要がある。

 …いや、正確に言うと巨大な胸部装甲を持つ無防備な女性に欲情しない人間の必要がある。


「姉さん…無防備すぎ…」


 コテンコテンと頭を揺らしていたトモコだったが、運転手の運転技能の良さからか、カックリと頭を垂れて寝てしまった。

 頭を垂れた時に重心移動し、明神の胸の中に倒れるトモコだったが、倒れても起きずにスヨスヨと聞こえるゆったりとした寝息を立てていた。

 トモコ自身が両手で抱えても余るくらいの胸部装甲が明神の腹のあたりを圧迫するが、優しくトモコを肩を押し、持ち上げて、自分の膝の上に頭が来るように寝かせる。

 んん…と唸ると、トモコは寝返りを打ち明神の腹の方を向いた。

 そしてそのまま下から抱き上げるように明神の腹を抱くと、えへへ…と、笑った。


「か、かわわわわ…!」


 その光景を見ていたさくが口元を抑えながら目をランランと輝かせる。

 が、明神の鋭い目つきに気圧され、別の方向を向く。

 …まあ、ちらちらとトモコを盗み見ているが。


^^^^^


 十数分のドライブを経てトモコと明神の共同拠点に止まる。

 既に明神がトモコの荷物は粗方準備していたのだ。

 キャリーケース3個分ほどのそれを車に積み込み、今度は社員寮に向かう。

 一度車が止まった時にトモコがトイレに行き、その後も起きたままだった。


「みょう、くん!」


「どうしたの姉さん?」


「えへへ…」


 明神のお腹にスリスリ


「…呼んだだけ?」


「(・∀・)ウン!!」


「そっか。」


「えへへ…」


 明神の胸板をペチペチ


「カップル…?」


「姉弟」


「みょ、うくん!」


「なに?」


「えへへへ!」


 わきの下を挟んでハグ(ギュウゥゥゥ)


「呼んだだけ?」


「(・∀・)ウン!!」


「えへへへ!」


 首元にスリスリ


「カップル」


「殺すぞ」


「ごめんなさい」


「(私は何を見せられてるんだろ…)」←ドライバー


 こんな感じが社員寮に着くまで続いた。


^^^^^


 5階建ての新築マンション。

 バリアフリーで耐震・耐魔法性の効果を得た木材によって作られ、1000年崩れないとも。


「おきいいいいね!」


「一階に19部屋で5階建て。2~5階が住居で1階がジム・プール・体育館・小型スタジオが設置されてるんだよ!」


「( ,,`・ω・´)ンンン?」


「あはは…住んだら覚えると思うよ?」


 トモコの部屋は5階の角部屋で、部屋全部が完全バリアフリーで風呂・トイレ・キッチン・ベランダ・リビングのどこにでも衝突防止のクッションや転倒対策のカーペット。

 介護士も錬金神に依頼して錬金してもらった性別無性の介護生物(スライム状)が5人…人?匹?が24時間を交代制で介護する。


「ら、むちゃん!」


 地面に下ろしてもらったトモコが近寄ってきた介護スライムに指さして叫ぶと、介護スライムはフルフルと揺れながらトモコにくっついた。


「ねばねば~♪」


 ねばりんこねばりんこと粘り粘れば、いつぞやの配信の再現か、スライムが少しずつ硬くなっていく。


「お~!ぷにっぷ!」


 スライムを(自分の胸部装甲を載せながら)抱き上げたトモコは交差した手でその弾力を確かめる。


「完全に蚊帳の外だね」


「姉さんが楽しそうで何より。」


 哀愁漂う二人だった。



あとがき


キーボードをワイヤレスに変えたらヤバいほど違和感がガガガガ…

いわかいん(違和感)←こんな感じでめたやごしすrn

(´・ω・`)慣れるまで待ってくだしい


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