五期生と絡もう!の回

『わらべとコラボ』


 ストーリーモードに行くと思いました?

 もう少々お待ちを、まずは五期生から!


 QDAのわらべのプライベートルーム内で、元笑わらべはこれから来る面々を考え、ものすごく、ものすごーく緊張していた。


「ひ、人って書いて飲む…人って書いて飲む…」


 左手に人の字を書いて飲む動作を延々と繰り返すくらい緊張しているわらべはパーティーメンバーの状態が移動中…になったことを視界の端で確認すると飲む動作が1.3倍速ほどに早くなった。


「人書く飲む人書く飲む人書くの――」


「何してるのー?」


「むぅ!?」


 何も飲み込んでいないはずが、のどを詰まらせわらべ。

 その姿をかわーとゆるゆるッとした評価をするのは浮世絵ゆる。


「先ぱぁい!」


「先輩だよ~」


 と、ゆるの後ろからぴょこんと顔をのぞかせる二人が。


「ふえええ!」


「え、一応私も先輩なんだけど?あれ?」


「( ,,`・ω・´)ンンン?」


 二人はマッド・ディカルドと咲桜さくだった。

 今回のコラボはデビュー時期がかぶった五期生とマッドの三日間連続コラボの一日目、わらべとマッドのコラボ配信だ。

 と言っても、二人きりではなく、それぞれについた先輩も出演する。


「ふ、ふえええ…ホンモノダァ…」


「ゆるちゃん、この子いいね」


「面白い子くてかわいー子よ~」


「( ,,`・ω・´)ンンン」


 小動物のように座ったままカタカタするわらべの前でゆるの後ろから出たさくが腕を組みながら目を光らせる。

 ちなみにマッドは座ってわらべをジッと見ていた。


「とりあえず、今回のコラボについて話そうね。」


「おけ~」


「( ,,`・ω・´)ンンン!」


「ハァイ!(*'▽')」


 と、茶番から始まったコラボ前の打ち合わせでは新人二人にできるだけ話し合ってもらえるようにして、先輩二人がコメントを代わりに拾ったり、話題が尽きた時の助力をするという方針で打ち合わせが終わった。


「あ、私、この話題出したいんですけど、いいですかね?」


「どんなの?」


「ストーリーモードの話です。みんな別々のことをしてたし、正式リリースしたらどうなるのかとか。」


「いいと思うよ。ってか、初めからなんで入れてなかったんだろうね。」


「さくちゃも意外とポンポ~ンなところあるからかな~」


「( ,,`・ω・´)ン。」


 なにおおお!とダメージのなさそうなパンチがゆるの胸にあたり、たゆんと揺れることで逆にダメージを受けるさく。

 PON


「さって、と。あと30分あるし、何かしようか?」


「…あ、そういえばフリーモードの咲桜ワールドができたって聞いたけど~?」


「( ,,`・ω・´)ン、ふふ、フリーモード、って、て、あれでしょ?あの、ののの、土出る奴!」


「そうそう、土を出したり、木をこったり石を削ったりできる奴だよ(^^」


 行く!と、元気に手をあげながら満面の笑みを浮かべるマッドにたじたじだったわらべも頬を緩ませた。


「じゃ、行こっか!」


 四人はパーティーテレポートでフリーモード咲桜ワールドに飛び、それぞれの家を作って農業もしくは林業を始めたあたりで配信時間になったため戻ってきた。


^^^^^


:待機

:ステイ

:あと少し

:来る!


おれの名はわらべ!元笑 わらべだ!新たな仲間よ、己と笑おうぞ!」


「そして、どーもー、咲桜所属の浮世絵の方のゆるだよー」


「さらに!わーい!リスナーのみんなこんばんわ!咲桜games所属の山桜さくです!そして…?」


「こ、ここ、こんばんは!マッド・で、でで、でかるど、です!えへへ!」


:こんばんは!

:こんばんああああああああ

:自己紹介できてエライ!

:わらべさんこんばんは

:ゆるさんだあああああああああああ!


「というわけで、今日はマッドママと5期生の連日コラボ一日目、私こと元笑わらべとマッド・ディカルドさんのコラボです!」


「先輩二人はアシストよ~」


「( ,,`・ω・´)ンンン」


:ママ五期コラボdays

:さくちゃん自分のチャンネル動かさないの?

:スパ茶まだっすか?

:マッドママ~(初コメ


「じゃあ、最初のアシスト!お互いの第一印象とどう思ってるか!」


「本音を話すのよ~」


「あ、私から話しますね?マッドママへの第一印象は、さくさんを作ったすごい人って印象でした。よくさくさんが自分の配信でも話のネタとして取り上げるので、さくさんはマッドママのことが好きなんだなって。そんな感じでした。」


「うんうん、先輩の配信…アーカイブかな?まあ、どちらにしろ先輩の後姿を見て学ぶいい後輩だね!」


「テレマスヨウ…」


:かわいい

:KAWAII

:照れムーブたすかる

:マッドさんは何してるんだ?


「って感じで、あれ?ママ、何してるの?」


「( ,,`・ω・´)ン、お、おお、お絵かき!」


「かつてコラボ中にお絵かきを始めるライバーがいただろうか~」


「何かいてたの?」


「( ,,`・ω・´)ン!」


 笑っているわらべとさくとマッドとゆるの絵。


:てえてえな

:萌える

:スクショした

:絵ウマ


「マッドちゃん!」


 ガシォ!とさくがマッドに抱き着いた。


「わ~、わらべちゃん、対抗するよ~!」


「えちょ、」


 ギュッとわらべを包むようにゆるが抱き着く。


:百合の花が咲いてる…だと…

:ETTI

:EROI

宵咲ユル:浮気…

:!?

:修羅場配信待ってます


「やべ」


「…あ、抱き着いてる場合じゃないや!ママ、わらべちゃんの第一印象、教えてくれる?」


「( ,,`・ω・´)ンンン?…」


 マッドはしばらく考えるように頭を揺らすとポンと手を打ち、


「かっ、かか、こかわ、いいいいひ、ひと?と!」


 と、自分の回答に満足したのか、うんうんとうなずいた。


「マッドちゃんはわらべちゃんをカッコカワイイ人って印象だったんだって。」


「かっこいいならわかりますけど、な、なんでかわいいってツイテルンダロウナー」


「祭りイベントの射的の音に驚いてりんご飴を落としてしょんぼりしてたからかしら~」


「ちょ、センパアイ!」


「それとも、イベントのお化け屋敷で半泣きになってたからかしら~」


「ヤメテヨ!」


:わら虐助かる

:天性のいじられキャラ

:職場にいたら雰囲気明るくなりそう

:お化け怖いのかw

:りんご飴www


「的を得た回答だね…ってか、私たちめっちゃ話に入ってるし…」


「それね~」


「じゃ、黙るね。」


「え」


「…」


「…」


「…」


「~♪」


:唐突の静寂…?

:マッドちゃんによるソロパート始まった!?

:ww

:草


「( ,,`・ω・´)ン、わ、わらべ、ちゃ、ん」


「ヘア!?は、はい。」


「ね、猫とい、い、犬、どっち、ちちち、が、好き?き?」


「猫と犬でしたら、い、犬かな~」


「もふもっふ?」


「あの毛の手触りもいいんですけど、ゴールデンレトリバーとかのニヤついてるみたいなあの顔が可愛くて…」


「(*'▽')にこにこ!」


「笑ってるみたいでかわいいですよね!」


「( ,,`・ω・´)ン!」


:コミュ強!?

:マッドママ強くね?w

:誰にでも愛されるwww

:犬は可愛い!


「( ,,`・ω・´)ン、こ、コメント、とに、も、い、いい、犬すきだって、ひ、っひといるよ!よ?」


「ほんとですか!?あ、アイコンが犬の人だ!ですよね!表情がわかりやすい子とかだとめちゃくちゃかわいんですよ!」


「ね、ね猫は?き、きき、キライ?」


「いえ、嫌いじゃないんですけど、犬の方が好きですね。」


:コメント拾えてエライ!

:読んでもらえたわ(感動)

:わらべは犬か…よし

:ひらめいた


「じゃ、じゃあ、いぬ、ぬぬ、以外です、すす好きな動物、は?」


「犬以外…狼?」


「ルフくん!」


「ルフくん?」


:↑通報した

:ルフくんったらマッドさんとこの狼くんだしょ?

:マッドの飼ってる狼

:マッドの犬(狼)


「マッドさん狼飼ってるの!?」


「( ,,`・ω・´)ン、かっわいいよ」


「ワァ…こ、今度見せてください!」


「い、いいよ!えへへ、えへへへへ…」


「えへへって笑うの可愛い!」


「え、えへへ?えへへへ…」


:くぁいい!

:これはタイトル回収

:普通に女友達の会話


 と、その後も楽しそうな女子トークが続き、ラストコールまで存在を忘れられていた先輩二人がしょげたとかなんとか。

 あと、その姿を見たわらべが爆笑した。


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