アナザーワールドは現実的に存在できるのか?

『胎動する世界』


 緻密に作られた間、そこには神により定められた各種族の王たちが意識だけだが集まっていた。

 空より生まれた者からはレプカトールの王にエルフィードエルフの王、オリハルコンドワーフの王にレプカトーラル獣人の王。

 地より生まれた者からは最王竜ドラゴンの王とケダモノの王、狩猟ウルフの王、守者イヌの王に、このような場にもほとんど出席しない怠惰と気まぐれネコの王までいる。

 空間より生まれし者からは悪と善マゾクの王や自然と調停セイレイの王。

 海より生まれし者からはワールドウッド森林の王。

 そして、神より造られし者は空司る者カラス以外はいつも通り出席していなかった。


 定期的に行われる世界成長会議、だが、今回はいつも空白なはずの上座に世界を造りし神である錬金神が座っている。


「みんな久しぶり、放置しててゴメンネ?」


「謝るほどでは…ですが、作られたまま放置されるのはあまりうれしくは感じませんでしたよ。」


 唯一神に造られた存在であるカラス以外は誰も声をあげない。

 自分の支配できている領域である程度自由にしている王たちだから、下手に機嫌を損ねたりして王位剝奪はご免被るわけだ。


「あははは…ま、まあ赦してよ。これからはこの世界もかなりにぎやかになると思うからさ。」


「というと?」


 錬金神はニヤッと笑うと自分の後ろに録画した映像を流す。

 それはこの世界の劣化コピーで繰り広げられる人の連続した同じような行動だった。

 計18人、18回の攻略では十人十色と言えるほどの全く別の行動をしていた。

 造られた当初から劣化コピーと同じような「設定」をされていたこの世界での常識を省いて…という前置きが必要だが、何度も死ぬものや逆に周りを壊すもの、見かけたモノすべてに興味を示すもの/示さないものなど、何度も言うが十人十色な動きをしていた。

 そしてそれらが随時ブラックアウトしていき、最後のコマ画面がブラックアウトした後、画面全部を使って一人の映像が流れた。

 もちろん、いままでのどの人とも違う動きをする「少女」は、映し出された瞬間から全王の視線を集中させた。


「な!?なぜ、最初にして全てディガルドが!?」


 最初にして全て、という名の通り、マッド・ディカルドの異世界体は世界の王の一柱それも、神より生まれた者3柱の中の一柱なのだ。

 しかも、神が世界を作った後初めて作った人型の生物。

 魂を生み出す過程を作り忘れたために魂の入っていないただの肉の器だったはずの者。


「まさか、完全に密閉してたはずの空間から消えてしかも「依頼主」の最も大切な人物が使用しているとわね…びっくりしたよ」


「なにを…い、いえそれよりも、どうするのですか!?この世界の概念とも呼べる存在に魂が宿ってしまっているんですよ!?その魂の人は――」


「無が干渉していると言ったら?」


「…それは」


「僕もからね。この世界を見てことは確実から。」


 世界で初めて生まれた生き物に普通の人の魂が宿る。

 そんなことになれば、定着率もあるが、ほとんどの場合は魂が引っ張られて生き物として概念化して意識が消滅する。

 だが、「無」が干渉しているとすると。


「僕たちは何も知らないんだ。だから、ただ、自分の作ったものが精々壊れないようにするしかない。だから君たちに王位を渡したんだよ。」


「…守り切って見せますよ。」


 カラスを筆頭に他の王たちからも気迫のようなものが漏れる。

 自分の環境や自由さを失わない為でもあるが、この世界に対して何も感じないわけではない。

 それこそ、、はたまたする不安定な世界だ。


「さあ、辛気臭い雰囲気はほっぽって、これからの話をするよ。みんな楽にして~、雑談から始めようか。」


^^^^^


 数分後、和気藹々とした会話が続き、多くの王たちが心配の顔をひっこめたころ。


「――さて、それじゃあ、そろそろ始めようか。私の子供錬金体がこの世界に来る話だよ。」


 和やかな雰囲気は鳴りを潜め、少しまじめなピリつくような空気になる。

 今回の会議の主題だ。


「それで、我々はどのような反応と行動をすればいいんでしょうか?何かしらコンタクトをした方が?」


「いや、向こうから接触してこない限りはむしろ、出会わないようにしてほしい。向こうからしたら「遊戯」でしかないから、妙に現実的な世界観を見せると僕が疑われちゃうからね。強制はしないし、まあ、今まで通りって感じかな。」


「なるほど。」


「うんうん。あ、あと、ディガルドちゃんなんだけど、動画を見てわかるとおり、ケダモノと魔族に友達ができたらしいから、魔王くんと獣王ちゃんは時期を計らって思いっきり接触していいよ。」


「え!いいのか!?」


「ヤッタ~」


 喜びの表情を浮かべる二人だが、その他の王たちは不満そうに二人を睨んだ。


「まあまあ、そう嫉妬しないの、誰の種族に関わりがあったら接触してもいいからさ。まあ、節度はわきまえなよ?」


 神の言葉を聞いてどうやって自分の種族と接触させようかと考えていた王たちは自然に出会うまで何もしないことを決意する。

 だって、神の目には余計なことをしたら消すと言う意志があったから。


「獣王!オレが最初に接触するぞ!」


「イイヨーでも、ママが行ったとおり、しばらくは様子見ダヨ?具体的には…ウーン…ママ?」


「向こう側の予定もあるから、私の子供達が来て数週間から数ヶ月は待つ必要があるかな…それこそ、僕からの神子に対する試練ワールドクエストが配布されて、一章3話が完了したあたり、だね。その頃にはそれぞれの種族に王と呼ばれる神に指名された存在がいるって情報が入って、神子が少し増えるはずだからね。」


「しばらくあとかよ…」


 グテっと机に突っ伏す魔王と違って豊満な胸を机に乗っけたままの獣王は個人端末でマッドがルフを撫でるときの手を超拡大して見ていた。


「(撫でるのウマイ…撫でてほしい♡)」


 ユラユラと上機嫌に揺れる尻尾を見ればわかるとおり、まだあっていないが、獣王はマッドを気に入ったようだ。


「まあ、そんな感じデーあとはテキトーにやっておけばいいけど、人王、君は色々あるから別室に行くよ。」


「え、ちょ、儂できるだけ存在感消してたのに…」


「母にはお見通しなのダァ、カラス!連行!」


「はい。」


「ちょ――」


 人王ば連行されていき、その音が聞こえなくなったあと、魔王と獣王は他の王たちから恨み言をグチグチグチグチ言われたとか。


 あ、サラッと流すけど、人王は神子がストーリーモードを始めたときに説明する内容を録画するために移動した。

 かなりすぐ終わって何故に!?という驚きと王位剥奪される恐怖が拍子抜けしたとか。

 カワイソスW


あとがき


 唐突ですが皆様の学歴はどこまでですか?

 私はこんな年にもなって専門学卒になるために受験することにします…(イロイロ・アッテナ)

 週1~2投稿なのは悪しからず!指が滑る(ように動く)と2日に1投稿になるかもですえ(*'▽')ノシ


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