第30話 ミスティア、ちょっと目が泳ぐ
だが、そんな楽しい時間もすぐに終わってしまった。
一曲終わると、ミスティアとヴィルフィールは離れ、礼をする。
「さあ、帰りましょうか。ここにいつまでもいても、ダメだもの」
「楽しい時間とはすぐに過ぎ去ってゆくものですねえ。毎日はゆっくりすぎているように感じるのに。不思議なものです」
「一日はゆっくり感じるのにね。楽しい時間はあっという間なのよね」
だが、気を緩ませるのはまだ早い。
広間に戻った瞬間囲まれるのは目に見えている。それならば、もう魔法を使った方がいいだろう。
そう思い、ミスティアはヴィルフィールにこう言った。
「ねえ、めんどくさいからもう影が薄くなる魔法かけて戻ろう」
「名案ですね」
ヴィルフィールはそういうと、すぐに魔法を使う。
すると、たちまち二人は影が薄くなり、ほとんど誰にも見つからなくなった。
ちなみにこの魔法はヴィルフィールともう一人の賢者が作ったものである。
もう一人も夜会などで鬱陶しい令嬢たちをどうにかしたいと思っていたらしく、ヴィルフィールと共同で作ったらしい。なんとも暇人な奴らだ。
「あーこれで楽に帰れる。後はもう終わるまで食事ね。スイーツを食べまくるわ!!」
「ミスティア、ケーキ以外も食べてくださいね……?」
「わ、わかってるわよ!!」
思わず目が泳いだミスティアに、ヴィルフィールはため息をついていた。
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