第23話 ミスティア、王子にお礼をする

ミスティアと王子は一旦婚約解消の話をするため、ヴィルフィール以外は部屋の外で待っている。

そして、ミスティアは王子にこう聞いた。


「私との婚約解消。してくれるよね?第一王子?」

「ああ…私にはもう想い人がいる…彼女とじゃなければ、結婚は考えられない」

「…その子と上手くいくかを見てあげようか?解消してくれるお礼として」


ミスティアはその王子の想い人と上手くいくかどうかを見てあげようかとふと思った。7賢者はお礼をするに値する者には、惜しみなく礼をする。

敬意を払うに値するものにも、自らの全てをかけてでも守る。

それは7賢者によっても違い、お礼の重さは全て7賢者側が決める。


「いや…。いい。見なくても、大丈夫だ。彼女を信頼するために」

「ふうん。そっか。私も昔、未来を見て後悔したことがあるからね。そのほうが賢明かな。……じゃあ、他に何を望む?」


お礼をすると決めたら、絶対にお礼はしなければいけない。

今欲しいものでも、なんでもいいのだ。


「私の…治世は大丈夫だろうか。この国を、潰すことにならないだろうか。国民を、守れるだろうか」


きっというつもりのないその言葉に、ミスティアはそれを願いとして叶えてあげることにした。


「大丈夫大丈夫。…貴方ならね」


その言葉が、王子の助けになるのならば良いだろう。

ミスティアはそう思った。

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