第4話 ミスティア、冒険者になる

「助けに来たよ。そこの四人、大丈夫だった?」


一応声をかけてみると、助けた四人はこくこくと頷く。

まだ生きていてよかった。


「そうだ、貴方達はなんでここにいるの?この魔物を倒すために来たの?」

「っあ、ああ。そうなんだ。だが、この魔物は急に現れてな……実は、俺たちは本当はBランクの魔物討伐依頼をやっていたはずだったんだが……」


Bランクの魔物はAランクより遥かに弱く、ちょっと話しかけるだけでも逃げられるほどなので、ミスティアは自らの気配に気づけなかったBランクの魔物を見て疑問を抱いた。


「それにしても、あんた強いんだな……」

「それほどでもないと思う。だって、私より強いのがいたし。……ああ、嫌な奴のこと思い出した」


本当に嫌な奴のことを思い出してしまった。

ミスティアが王宮魔導師をしていた頃に会議で何度か会っただけだが、あまり位思い出がない覚えがある。


「それよりさあ、私国から逃げてきたんだよね。稼ぎのいい仕事ってある?」

「…それくらい強ければ、冒険者になればいいと思うぞ?」

「そうよ!貴女みたいに強ければ、きっとSランクの冒険者にだってなれるわ!もしかしたらSSSランクにまで届くかもしれないし!」


そう言われ、ミスティアは冒険者になろうと決めた。

それに、冒険者になればだらだらし放題だと思ったのだ。


「よっし!じゃあ、冒険者になるわ!私!そうして、だらだらした生活を送るのよ!適度に魔物を倒していけばいいでしょ!」

「ああ、あんたならどこの国に行っても歓迎されると思うぜ」


こうして、ミスティアは冒険者になるために、冒険者ギルドに行くことにした。

助けた四人に案内してもらいながら。

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