第24.5話

「またここにいるんだな。香恋」


 僕はそう言ってブランコに座りながら落ち込んでいる幼馴染の香恋に話しかけた。


「何よ、聡太」


 香恋は愛想悪く僕に返答した。


「またテストの点数が悪かったのか?何度もあるうちのたった一回だよ。そんなに落ち込まなくてもいいんじゃないの?」


 僕は落ち込んでいる香恋を元気づけようとして慰めの言葉をかけたがどうやらこれは逆効果だった。


「なんでも簡単にやってのけてしまう聡太には分からないわ!」


 香恋は涙目で僕にそう言った。



 僕の幼馴染の秋元香恋は一言で説明するならストイックな人だ。

他人も厳しくそして自分にはそれ以上に厳しくして日々努力を怠らずに頑張っている。

だけど最近はどうやら思うような結果が出ずに伸びや悩んでいるようだ。

僕は別にそのまで思い悩むほどのことではないと思う。誰だってうまくいかない時はある。だけど香恋は今の状況に焦っているように見える。それは神童とまで言われているほどの優秀な姉がいるからかもしれない。

香恋はいつも香織姉さんに近づけるように頑張っている。



「香恋…」


 僕は香恋がこのままずっと苦しんでいる様子を見ることができなかった。

僕は香恋の満足するような気の利いたことは言えない。もしかしたら傷つけてしまうかもしれない。それでも……僕ははっきり言うことにした。


「香恋!僕ははっきり言って今の君の気持ちはわからない。それに———————」






——————僕は目を覚ました。


「今のは…夢か…。」


 時計を見ると時刻は18時になっていた。

どうやらけっこう長い間僕は寝ていたようだ。


「いつぐらいの事だったかな…。あの時僕は香恋になんて言ったんだ?」



 寝起きということもあって十分に頭が回らなかったので僕は考えるのをやめた。


 ふと窓から外を眺めていると太一ともう1人の男が走って曲がり角を通っているのが見えた。


 太一…あんなに慌ててどうしたんだ?

それに今の男…、もしかしてあれが春木桜なのか?


 部屋の中にずっといる僕には彼らがなぜそんなに急いでいたのか分からなかった。

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