第15.5話
春木君が僕の家に来るようになって2週間が過ぎた。
正直はじめは春木君が家に来た時はすごく戸惑ってしまって邪険にしてしまった。
こいつもはじめは不登校の僕に同情して、僕の家にきて仲良くなってあわよくば学校から不登校のクラスメイトのことを気づかっている心優しい人間って評価を得ようとしているのかと思っていた。
だけど春木君は違った。
僕は一切部屋から出ていない。だから僕と会話をしたいならドア越しで会話をしなければならない。
初対面で顔も見たことのない得体の知れない人とこんな形で相手をするなんてそう簡単に出来ることではない。
中学の時もはじめは何人か家にきてくれたがこのやり方にみんな疲れて諦めて結局誰も僕に会いに来なくなってしまった。
それでも秋元だけはずっと僕に会いにきてくれた。
この前は意地になってあんなひどいことを言ってしまったが本当は感謝の気持ちを伝えたい。だけど今の僕はもう部屋から出る勇気すらない。
このままひとりぼっちになっていくのだろう。そう思っていた。
そんな時に春木君は来た。
彼はあれからほとんど毎日家に来てくれている。特別なことなどまったく話してない他愛もない会話だが僕はその時間がすごく楽しい。
そして彼は僕が不登校になった理由を聞いてこない。
僕にとってそれはすごくありがたいことだった。
こんな身体にならなかったら僕は秋元や春木君たちと楽しい学校生活を歩めていたのかもしれない。
そんな今さら考えても仕方のないことを僕は考えてしまうのであった。
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