第9話
委員長に勉強教えてもらった翌日、俺は委員長に聞きたいことがあって話しかけた。
「よっ!委員長!おはよう」
「…おはよう」
朝1番だからとりあえず挨拶から入ったが、なんだか今日の委員長は元気がないようだ。
「昨日は勉強を教えてくれてありがとう!
それで少し聞きたいんだけど」
「何かしら…、まだわからないところがあるの?」
「いや、昨日家に帰った後、教えてもらったところの復習をしようとしたんだけど俺の解答用紙がなかったんだ。」
「え?…」
「だから、委員長の荷物に紛れ込んでしまったんじゃないかと思ってな!」
「昨日、家でプリント類を整理している時には見なかったわ」
「そうか…。分かった!ありがとな」
そう言って、俺は自分の席に戻った。
すると隣りの席の冬月から話しかけられた。
「春木君、いつの間にか秋元さんとお話しをするようになったんですね。」
「そうなんだよ!先生から「委員長に勉強を教われ」って言われて少し勉強を見てもらっているんだよ。」
「春木君のテストの点数はとんでもなく悪かったですものね」
「うるせー。てか先生から聞いたけど冬月頭いいんだな」
「秋元さんほどではないですがそれなりには勉強はしてますよ」
そういえば、委員長から勉強を教えてもらえるの今日までだよな。
昨日は数学で今日は英語のはずだから、国語が余ってしまうな。
よし!冬月に頼んでみよう!
「冬月!頼みがあるんだが…少し勉強を教えてもらえないか?」
「私でいいならいいですよ。3科目全てですか?」
「数学と英語は委員長に教えてもらえるから国語を教えてもらってもいいか?」
「分かりました。春木君とは委員会の仕事で放課後一緒になることが多いのでその時にいいですか?」
「ああ!それで宜しく頼むよ。ありがとう!」
冬月に勉強を教えてもらえる約束をした後、授業の時間になったので俺たちは普通に授業を受けた。
〜〜〜〜
その日の放課後、俺は昨日約束した通り委員長に勉強を教えてもらっていた。
英語は他の科目に比べたらまだマシな科目なので数学よりは理解することができた。
すると委員長が話しかけてきた。
「あなた、数学と国語はこんなにひどいのにどうして英語は理解できるの?
普通、勉強が苦手な人なら英語もできないと思っていたけど。」
「あー、それは昔仲の良かった友達の兄貴から少し教わっていたんだよ。その人マジで語学堪能だったんだよな。」
「そういうことね。だったら納得できるわ」
そんな他愛もない会話をしたりして、俺は委員長から勉強を教えてもらった。
気が付いたら1時間が経過しており、俺と委員長は勉強を終えて帰りの支度をしていた。
帰り支度をしている時に俺はふと気になったことがあったので委員長に質問をした。
「なぁ、委員長。少し気になったから聞きたいんだけど…俺の前の席の夏川って人どうしてまだ学校に来ないんだ?」
その瞬間、委員長は帰り支度をしていた手が止まった。
「悪いけど…、夏川君の事を話すことはできないわ」
委員長は静かにそう言った。
それはいつものような凛とした様子ではなく心なしかとても辛そうに見えた。
「そうか。分かった。急にこんな事聞いてごめんな。」
俺は委員長にそう言って、帰り支度を続けた。
てか、今日の委員長どうした?何が起きた?なんであんな暗いんだ?
いつもだったらこの倍は辛辣な言葉を言ってくるというのに今日はそれにキレがないぞ。
そんな事を考えている時にある事を思い出した。
この流れでそれを聞くには少しキツいが、俺はそのまま委員長に話しかけた。
「委員長、この流れでこれを聞くのは申し訳ないんだが…」
「別に聞くだけならいいわよ」
「委員長って確か夏川君の家にプリント類を届けに行ってるよな」
「ええ。それがどうしたの?」
「もしかしたらだけど朝俺が無くしたって言った数学の解答用紙って夏川君に渡したプリントの中に紛れ込んでいたんじゃないか?」
「たしかにあの日は急いでいたからもしかするとそうかもしれないわ」
「悪いけど、夏川君に連絡して聞いてもらえないか?」
俺がそう言うと、委員長は一瞬顔をしかめたがすぐに仕方ないといった感じで返事をしてくれた。
「わかったわ。帰ったら連絡して聞いてみるわ。」
「おう!それと2日間勉強を教えてくれてありがとう!」
俺が感謝を伝えると、委員長は少し安堵したような感じで言った。
「ええ。これであなたへの借りは返したわよ」
こんな感じで俺は2日間の委員長のスパルタ勉強会を終えたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます