第2話
「えー、まずはそうですね!生徒達みんなの自己紹介をお願いします!」
担任の野坂先生は明るい笑顔で言った。
「では出席番号順でお願いします。出席番号1番秋元さん!宜しくお願いします!」
そう言われて俺の2つ前の席の秋元さんが立ち上がった。
あれ?
てかおかしくないか?
こういう新しいクラスの時って普通出席番号順で席が決められてるはずなのにどうしてあ行の秋元がは行の俺の列にいるんだ?
「あの、先生!」
最前列にいる1人の男子生徒が手を挙げ先生に質問をした。
「はい!そこの君どうぞ!」
「俺、苗字和歌山って言うのですがどうしてわ行の俺がドア側の最前列にいるんですか?」
どうやら俺と同じ疑問を抱いたようだ。
「あれ?ちょっと待ってね。」
先生が座席表を確認し始めた。
何かを1分程度考えていると急に声を大きく発した。
「ごめんね!みんな!これ先生が女友達2人と3人で飲み会するはずだったのに2人とも急に彼氏とデートすることになってブッチされてムカついて家でヤケ酒しながら作成したやつだったわ」
クラス一同反応に困ってしまった。
「まぁ、これも何かの縁ということでまずはこの席で仲の良い人を作っていってね!」
この先生マジかよ。
すげぇいい加減じゃねぇか。
「はい!そういうことですので秋元さん!
気を取り直してお願いします!」
「はい、分かりました。東中学出身、秋元香恋です。宜しくお願いします。」
淡々と発表し、秋元は席に着いた。
「ちょっと待ってよ!秋元さん!それだけだったらあまりにも寂しいわよ
他に例えば趣味とか得意科目だったりあるでしょ!」
さすがに淡々としすぎた挨拶だったので野坂先生が少し困った様子で指摘をした。
「別に今ここでありのままを発表する気は無いのですが、分かりました。趣味と得意科目程度だったら言います。」
彼女はそう言い、席を立ちさっきと同じく淡々と話し始めた。
「別にこれと言って特別な趣味はありませんが、強いて言うなら野球観戦をするのは好きです。そしてとりわけ得意科目なんてものはありません。どの科目もほとんど同じぐらいの点数です。以上です。」
そう言い彼女は席に着いた。
「はい!秋元さん、ありがとうございました!では次の人お願いします!」
そしてその後はスムーズにみんな自己紹介をしていきあっという間には行の順番がやってきた。
「はい!では次は春木君お願いします!」
よし!
遂に俺の番が来たぜ!
ここで元気よくいかせてもらうぜ!
俺は勢いよく立ち上がった。
「南中学出身!春木桜です!宜しくお願いします!趣味は体を動かすことなど好きです!
得意科目は正直ありません!どれも苦手です!あ、でも料理は得意なので家庭科は得意です!みんなと仲良くなりたいんで気軽に話しかけてください!以上です!」
よし!練習通りだぜ!
ちゃんと上手く噛まずに言えたぜ。
俺はバレないように小さくガッツポーズをした。
「アイツ、無駄に元気いいな。てかあのナリで料理得意なのかよ笑」
「なんかイメージに合わないよねぇ〜」
男子や女子のヒソヒソ話が聞こえてきた。
うん、聞かなかったことにしよう!
てかさすがに男で料理できるアピールはまずかったのか?
マジかよ、昔仲の良かった友達の兄貴が「料理ができる男はモテるぞ〜」って言っていたのに。
「はい!では次の人お願いします!」
「は、はい!」
そう言い隣りの席の子が立ち上がった。
「北中学出身、冬月澪(ふゆつき みお)です。宜しくお願いします。趣味は本を読むのが好きです。あと、えーと得意科目は国語です。
よ、宜しくお願い…します…」
そう言い隣りの席の子は席に着いた。発表が終わった後彼女は顔を真っ赤にして下を向いている。
この子相当恥ずかしがり屋なんだな。
俺はそう思って彼女を見ていたらふとさっきのことを思い出した。
あれ?
この子さっき俺が席間違えた時に優しく教えてくれた子じゃん。
しかもめっちゃ美人じゃねぇか!?
さっきは自己紹介のことばっか考えていて気づかなかったぜ。
髪の毛も銀髪で綺麗に腰まで伸びている。
秋元ってやつと同じぐらいの長さか。
てか目の色も俺たちと違って綺麗な青色だし
外国人とのハーフなのか?
「うわぁ、冬月のやつ高校でも同じクラスってマジかよ。あの根暗中学の時誰とも話さずにずっと図書室で本ばっかり読んでたんだぜ!」
またそんなヒソヒソ話が聞こえてきた。
てかコイツら他人の事ヒソヒソ話しすぎじゃねぇか。
なんなんだよ!このヤロウ!
そんなことを考えていたらクラス全員の自己紹介が終わっていた。
「はい!ではみんな自己紹介ありがとうございました!では部活紹介や委員会の取り決めなどは明日以降やっていきましょう!
今日はこの辺でみんな解散!」
野坂先生はそう言い1組の生徒はみんな仲良くなった人たちと一緒に帰って行った。
うん!まぁ初めはこんなもんだろ。
俺は良くやった!
そういえば俺の目の前の席の人、今日が入学式だと言うのにいないな。
確か先生は夏川君って言ってたような、まぁこれからのことはまた考えよう!
とりあえず俺は帰る!
こうして俺の記念すべき高校1日目は終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます